12.切除不能膵癌(IV期)に対する温熱放射線療法

【目的】IV期の切除不能膵癌10例に対して放射線治療を行い, 温熱療法を併用した症例と併用しなかった症例を比較することにより, 温熱療法の有用性をretrospectiveに検討した. 【方法】平成8年3月より平成13年12月までに, IV期の切除不能膵癌10例に対して放射線治療を行った. 症例は, 男性8例, 女性2例, 平均年齢59歳(45~87歳)である. 治療開始時点で, 10例中5例には遠隔転移はなかったが(第1群), 残りの5例には肺, 肝, 脳, 骨へ遠隔転移を認めた(第2群). 外照射は, 10MVのX線を用いて1.8~2.0Gy/fr/dayを2~3門で合計34~50.4Gy...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 18; no. 4; pp. 216 - 217
Main Authors 平尾幸, 堀上健作, 羽田野和彦, 清水輝久, 國崎忠臣, 前田博司, 川上かをる, 山本久美, 中嶋喜代子, 松本由紀子, 林田昌之, 林靖之, 林邦昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 2002
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ISSN0911-2529

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Summary:【目的】IV期の切除不能膵癌10例に対して放射線治療を行い, 温熱療法を併用した症例と併用しなかった症例を比較することにより, 温熱療法の有用性をretrospectiveに検討した. 【方法】平成8年3月より平成13年12月までに, IV期の切除不能膵癌10例に対して放射線治療を行った. 症例は, 男性8例, 女性2例, 平均年齢59歳(45~87歳)である. 治療開始時点で, 10例中5例には遠隔転移はなかったが(第1群), 残りの5例には肺, 肝, 脳, 骨へ遠隔転移を認めた(第2群). 外照射は, 10MVのX線を用いて1.8~2.0Gy/fr/dayを2~3門で合計34~50.4Gyを照射した. 術中照射の2例には13MeV, 16MeVの電子線でそれぞれ30Gyの照射を行った. 温熱治療は, Thermotron RF-8の25cmまたは30cmの電極を用いて, 50分/回で週1回合計3~10回の治療を行った. 【結果】治療開始時点でのperformance status(PS)は0~2であり, 第1群と第2群とで差はなかった, 第1群で外照射(総線量40Gy)のみを行った2例の生存期間は, 2ヶ月(Performance status3;以下PS-3), 6ヶ月(PS-1)であった. 第1群で外照射と温熱療法を行った2例の生存期間は, 22ヶ月(総線量50Gy;PS-2), 10ヶ月(総線量50.4Gy;ps-0)であった. 第1群で術中照射(13MeV;総線量30Gy), 外照射(総線量40Gy)と温熱療法を行った症例(PS-1)は, 腫瘍マーカーは正常化し治療後8ヶ月経った現在も外来通院中である. 第2群で外照射のみを行った2例の生存期間は, 2ヶ月(総線量40Gy;PS-2), 7ヶ月(総線量39. 6Gy;PS-1)であった. 第2群で外照射と温熱療法を行った2例の生存期間は, いずれも4ヶ月(総線量48Gy;PS-0, 総線量34Gy;PS-2)であった. 第2群で術中照射(16MeV;総線量20Gy)と外照射を併用した症例の生存期間は, 5ヶ月(PS-1)であった. 【結語】切除不能膵癌でも遠隔転移がない場合には, 放射線治療に温熱療法を付加することにより, 生存期間延長とQOLの改善が得られたが, 遠隔転移がある場合には予後の改善は得られなかった.
ISSN:0911-2529