2.腫瘍内蒸留水注入により有効な加温が得られた軟部腫瘍の2例

• Published in: 日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 18; no. 4; p. 213
• Main Authors: 山田承子, 大栗隆行, 矢原勝哉, 小野寺周, 冨松敦之, 加藤文雄, 野元諭, 今田肇, 中田肇
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本ハイパーサーミア学会 2002
• ISSN: 0911-2529; 1881-9516

巨大な軟部肉腫の2症例の温熱療法において, 腫瘍内蒸留水注入が腫瘍内温度上昇に有効であったので報告する. 症例1は, 67歳女性. 右腰部の9.5×7.5cmの悪性軟部肉腫温熱療法時の腫瘍内測温で, Tmax42.9±1.1℃, Tmin40.0±0.6℃と温度上昇が不十分であった. 腫瘍内に蒸留水40mlを注入して, 温熱療法を施行した8回の測温結果は, Tmax46.3±1.5℃, Tmin45.5±1.5℃まで上昇した. 症例2は, 75歳男性. 右後腹膜の14×11cmの紡錘細胞腫瘍. 温熱療法時の腫瘍内測温で, Tmax41.6℃, Tmin40.8℃と症例1と同様温度上昇が不十分であった. 腫瘍内に蒸留水40mlを注入して, 温熱療法を施行した5回の測温結果は, Tmax46.0±1.6℃, Tmin43.8±1.4℃まで上昇した. 巨大な軟部腫瘍の腫瘍内に蒸留水を注入することで, より有効な外部加温を施行できた.