大規模災害時における義歯ケアシステムの構築 - 被災高齢者の咀嚼・嚥下障害と誤嚥性肺炎の予防のために

「1. はじめに」地震大国日本において, 地震や津波により大規模な災害を受ける機会は多い. 一旦, 大規模災害が発生すれば, 被災者は避難所での生活が余儀なくされ, 長引くことで二次的な健康被害を引き起こす. 特に超高齢社会を迎えたわが国において, 被災高齢者の義歯紛失による咀嚼・嚥下障害や義歯汚染による誤燕性肺炎の増加は深刻な問題となっており, 東日本大震災の教訓からも歯科医師による義歯ケアの重要性が認識さている. 我々の研究グループでは, 避難所においても被災高齢者の義歯ケアを簡便に行うシステムを構築するために, 3つの研究プロジェクトを立ち上げた. プロジェクト1は, 被災直後に義歯を喪...

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Published in神奈川歯学 Vol. 50; no. suppl; pp. 28 - 33
Main Authors 木本克彦, 星憲幸, 斉田牧子, 小田切憲, 有井丈朗, 大野晃教, 小林弘明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 31.03.2015
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ISSN0454-8302

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Summary:「1. はじめに」地震大国日本において, 地震や津波により大規模な災害を受ける機会は多い. 一旦, 大規模災害が発生すれば, 被災者は避難所での生活が余儀なくされ, 長引くことで二次的な健康被害を引き起こす. 特に超高齢社会を迎えたわが国において, 被災高齢者の義歯紛失による咀嚼・嚥下障害や義歯汚染による誤燕性肺炎の増加は深刻な問題となっており, 東日本大震災の教訓からも歯科医師による義歯ケアの重要性が認識さている. 我々の研究グループでは, 避難所においても被災高齢者の義歯ケアを簡便に行うシステムを構築するために, 3つの研究プロジェクトを立ち上げた. プロジェクト1は, 被災直後に義歯を喪失した高齢者に対して簡便に義歯製作が可能となる製作マニュアルの作成を行った. プロジェクト2は, 近年インプラント治療を施している高齢患者も多いことから, 被災地でもインプラン治療に対応するためのツールとして, インプラント体の種類が把握できる識別システムの開発を行った.
ISSN:0454-8302