内毒素による牛歯根膜細胞の代謝変動に関する研究 - 特にE.coli endotoxinと有機酸代謝について

「緒言」 歯周疾患は, 口腔常在菌と宿主細胞との間で起こる複雑なHost-parasite relationであり, その結果生ずるコラーゲン及び種々なglycoconjugatesを主要代謝産物とする結合組織線維芽細胞の代謝的変動(metabolic alteration)とも言える. この様な病変形成の過程として, 細菌由来の外来物質による直接作用及び一連の炎症性細胞を介しておこる免疫学的な応答が考えられていること, そして歯垢由来の種々な細菌がそのtriggerとしての役割を演じているのは周知の事実である. しかし, Ellisonは, 歯垢中には多数の細菌が存在しているが, 細菌が直接...

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Published in神奈川歯学 Vol. 16; no. 4; pp. 551 - 558
Main Authors 桜井忠好, 榎本安行, 川中伸顯, 横溝眞一, 小田原國俊, 宮城功, 堀俊雄, 川瀬俊夫, 斎藤滋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.03.1982
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Summary:「緒言」 歯周疾患は, 口腔常在菌と宿主細胞との間で起こる複雑なHost-parasite relationであり, その結果生ずるコラーゲン及び種々なglycoconjugatesを主要代謝産物とする結合組織線維芽細胞の代謝的変動(metabolic alteration)とも言える. この様な病変形成の過程として, 細菌由来の外来物質による直接作用及び一連の炎症性細胞を介しておこる免疫学的な応答が考えられていること, そして歯垢由来の種々な細菌がそのtriggerとしての役割を演じているのは周知の事実である. しかし, Ellisonは, 歯垢中には多数の細菌が存在しているが, 細菌が直接歯周組織内に侵入し組織を破壊するという病態像は今まで観察されていないことを報告している. 又, Socranskyは, これらのことから歯垢中の細菌の産生する浸潤性かつ細胞毒性を有する物質が, 歯周組織破壊に関与する可能性を示唆している.
ISSN:0454-8302