死生観の行動計量

「死生観の行動計量」 日米の死生観を比較する場合, 「時間観」の相違に注目することが大切である. つまり, キリスト教, 殊にカトリックでは, 生命の誕生は受胎したとき, 胎児の全人格が形成されるので, 堕胎は殺人に等しく, 死生観を調査するときは生まれ出る生命に対する態度の相違を配慮して作成されなければならない. 又, 遺体に対する感受性が異なる. 従って, 生命倫理としての「脳死」に関する見解が異なる. ホスピスなどに入院することは日本人は余り好まない. 死を前提とした病院に否定的な態度を示す日本人と欧米諸国の死生観の相違が具体的にはこのような現象として現われる. 欧米諸国と日本人の時間観...

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Published in行動計量学 Vol. 20; no. 1; pp. 117 - 118
Main Author 高宮有介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本行動計量学会 1993
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ISSN0385-5481

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Summary:「死生観の行動計量」 日米の死生観を比較する場合, 「時間観」の相違に注目することが大切である. つまり, キリスト教, 殊にカトリックでは, 生命の誕生は受胎したとき, 胎児の全人格が形成されるので, 堕胎は殺人に等しく, 死生観を調査するときは生まれ出る生命に対する態度の相違を配慮して作成されなければならない. 又, 遺体に対する感受性が異なる. 従って, 生命倫理としての「脳死」に関する見解が異なる. ホスピスなどに入院することは日本人は余り好まない. 死を前提とした病院に否定的な態度を示す日本人と欧米諸国の死生観の相違が具体的にはこのような現象として現われる. 欧米諸国と日本人の時間観の相違を表す典型的な思想は「輪廻転生」の思想であり, 死滅したものに対する執着(位碑, 遺骨, 先祖崇拝など)である.
ISSN:0385-5481