DOTとDOTS】

〈解説〉DOT(ディー・オー・ティー)は, 医療従事者が患者が薬を飲み込むのを毎回見届け記録する服薬の確認で服薬アドヒアランス強化である. 結核の治療は, 有効な薬剤の組み合わせを適切な期間服用することで達成される. たとえば初期2ヵ月間INH, RFP, PZA, EB, 以後4ヵ月間INH, RFPは治癒率98%および再発率2%という優れたエビデンスを有する初期強化短期化学療法という標準治療方式の一つである. しかし不規則な服用や服薬中断により治療成績が低下し, 再発が多くなったばかりでなく多剤耐性菌を増やす結果となり, HIVと相まって1990年前後の結核再興となった. これに対して先進...

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Published in医療 Vol. 62; no. 8; p. 443
Main Author 豊田恵美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立医療学会 2008
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ISSN0021-1699

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Summary:〈解説〉DOT(ディー・オー・ティー)は, 医療従事者が患者が薬を飲み込むのを毎回見届け記録する服薬の確認で服薬アドヒアランス強化である. 結核の治療は, 有効な薬剤の組み合わせを適切な期間服用することで達成される. たとえば初期2ヵ月間INH, RFP, PZA, EB, 以後4ヵ月間INH, RFPは治癒率98%および再発率2%という優れたエビデンスを有する初期強化短期化学療法という標準治療方式の一つである. しかし不規則な服用や服薬中断により治療成績が低下し, 再発が多くなったばかりでなく多剤耐性菌を増やす結果となり, HIVと相まって1990年前後の結核再興となった. これに対して先進国で採用されたのが1人1人の結核患者を適切なレジメンで治療を完遂することを目的としたDOTである. DOTは医療従事者が結核患者の1回1回の服薬を直視下で治療完了まで確認していく治療介入であり, あわせて副作用の監視やその他の治療完遂への障害に対する服薬支援で, 全結核患者にこれを実施したニューヨーク市等ではみごとに結核を減らせ, 多剤耐性結核のコントロールに成功した経緯がある. 対語はSelf-administered therapy(自己管理服薬治療)である.
ISSN:0021-1699