5. 化学療法後に発性したサルモネラ腸炎の1例

症例は62歳, 女性. S状結腸癌・右乳癌根治術, 乳癌再発巣切除術の既往あり. 以後, 化学療法, 放射線療法を行っている. 現病歴は'95年5月30日, 化学療法を施行, 白血球数600/μlまで低下したがG-CSF投与にて改善し, 6月19日退院した. 6月21日頻回の水様性の下痢・嘔吐・腹痛が出現し, 緊急入院となった. 入院時には下痢は失禁状態で, 入院後直ちに輸液, 抗生剤を投与したが, 経過は急激で発症後20時間でショック状態となった. 血圧維持は困難であり, また呼吸困難・無尿も出現し, 人工呼吸, 血液透析を施行. ICU治療を継続し救命しえた. 入院時の便培養から...

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Published in医療 Vol. 50; no. 7; p. 529
Main Authors 齋藤修治, 深沢信悟, 土井卓子, 白井利男, 長谷川聡, 和田浄史, 杉田昭, 西山潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立医療学会 1996
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Summary:症例は62歳, 女性. S状結腸癌・右乳癌根治術, 乳癌再発巣切除術の既往あり. 以後, 化学療法, 放射線療法を行っている. 現病歴は'95年5月30日, 化学療法を施行, 白血球数600/μlまで低下したがG-CSF投与にて改善し, 6月19日退院した. 6月21日頻回の水様性の下痢・嘔吐・腹痛が出現し, 緊急入院となった. 入院時には下痢は失禁状態で, 入院後直ちに輸液, 抗生剤を投与したが, 経過は急激で発症後20時間でショック状態となった. 血圧維持は困難であり, また呼吸困難・無尿も出現し, 人工呼吸, 血液透析を施行. ICU治療を継続し救命しえた. 入院時の便培養からはSalmonella enteritidisが検出された. 乳癌化学療法後のcompromized hostに発症し, 急激に循環不全に陥った重症胃腸炎型サルモネラ症の一例を経験したので報告した.
ISSN:0021-1699