全大腸潤型びまん浸潤癌の穿孔例

「要旨」21才, 男性. 穿孔性腹膜炎のため緊急手術を行い, ハルトマン法により人工肛門を造設した. 術後の注腸造影・大腸内視鏡では, 横行結腸から回盲部まで連続性に炎症は及び, 潰瘍性大腸炎の所見にきわめて類似していた. しかし, 切除標本の詳細な検討では, 高分化腺癌が全領域に散在して認められ, 構築像では辺縁は深達度m, 穿孔部に進むにつれsm, pmとなり一部は筋層部を貫いていた. 初回手術から4カ月後に大腸全摘術を施行. 手術時所見では, 高分化腺癌の粘膜下浸潤が残存大腸全域に進展しており, 腸管の著明な短縮と壁の肥厚を認めた. 腹膜の一部および胆嚢漿膜への播種も認め, S2P1H0...

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Published in医療 Vol. 44; no. 9; pp. 931 - 935
Main Authors 谷山新次, 新井竜夫, 磯村勝美, 山崎武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立医療学会 1990
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Summary:「要旨」21才, 男性. 穿孔性腹膜炎のため緊急手術を行い, ハルトマン法により人工肛門を造設した. 術後の注腸造影・大腸内視鏡では, 横行結腸から回盲部まで連続性に炎症は及び, 潰瘍性大腸炎の所見にきわめて類似していた. しかし, 切除標本の詳細な検討では, 高分化腺癌が全領域に散在して認められ, 構築像では辺縁は深達度m, 穿孔部に進むにつれsm, pmとなり一部は筋層部を貫いていた. 初回手術から4カ月後に大腸全摘術を施行. 手術時所見では, 高分化腺癌の粘膜下浸潤が残存大腸全域に進展しており, 腸管の著明な短縮と壁の肥厚を認めた. 腹膜の一部および胆嚢漿膜への播種も認め, S2P1H0N1(+), Stage Vであつた. 高分化腺癌のびまん浸潤型が全大腸に及んだ, きわめてまれな症例である. 近年, 大腸癌の診断が進むにつれ, さまざまな形態を示す大腸癌が報告されるようになつてきた.
ISSN:0021-1699