多発性硬化症及び2, 3の神経疾患における髄液蛋白の免疫生化学的研究 ―IgG ratioとMastix反応の診断学的検討

「要旨」多発性硬化症(MS)患者9例を含む種々の神経疾患37例について, 髄液のMastix反応およびIgG ratioの測定を行った結果, 1)MS群では, そのIgG ratioは正常範囲内にあったがMastix反応は全例左型異常パターンを示した. 多発性神経炎群では, IgG ratioは0.02~4.93のバラツキを示し, そのMastix反応は全例異常であったが, 左, 中間, 右型の種々のパターンがみられた. その他の神経疾患(器質性および機能性)では, 21例中, 正常8例(38%), 左型12例(57%), 中間型1例(5%)の異常を認めた. 2)Mastix反応とIgG ra...

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Published in医療 Vol. 32; no. 1; pp. 24 - 31
Main Authors 野口貞子, 北野治男, 西谷裕, 小西哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 医療同好会 1978
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Summary:「要旨」多発性硬化症(MS)患者9例を含む種々の神経疾患37例について, 髄液のMastix反応およびIgG ratioの測定を行った結果, 1)MS群では, そのIgG ratioは正常範囲内にあったがMastix反応は全例左型異常パターンを示した. 多発性神経炎群では, IgG ratioは0.02~4.93のバラツキを示し, そのMastix反応は全例異常であったが, 左, 中間, 右型の種々のパターンがみられた. その他の神経疾患(器質性および機能性)では, 21例中, 正常8例(38%), 左型12例(57%), 中間型1例(5%)の異常を認めた. 2)Mastix反応とIgG ratioとの関係は, IgG ratioの平均値は, 正常型が最も低く, 右型, 中間型, 左型の順に高い値を示したが, MS群では, その値は必ずしも高くなく, 正常~軽度の上昇しか示さないのに対して, Mastix反応は全例異常(軽度~中等度)を示し, 且つ全例蛋白量は, 正常範囲にあることにより, この2つの測定を同一検体で行うことが, MSの補助診断法として有用であると考えられるが今後Definite caseを含む症例を加えて検討を行う必要がある.
ISSN:0021-1699