Roux-Y型総胆管空腸吻合術による胆道再建(指定研究)
近年, 本邦の胆石症も次第に欧米化の傾向を示し, コレステリン系結石の占める割合が多くなつてきたといわれるが, われわれの施設においては依然としてビリルビン系結石が大部分を占めている. これら症例のうち, 胆管結石手術例については, 術後の遺残結石あるいは結石再発のために結石排除の目的で再手術の必要に迫られる場合も稀ではない. 一方, 胆道系手術が今日のように一般化した反面では, 時として安易な胆嚢摘出術や総胆管切開術などが行なわれ, これが術中胆道損傷や術後の瘢痕性胆道狭窄を招来することがある. このような胆道損傷や狭窄が発生した場合, 早期に適切な措置が講じられなければその患者は悲惨な経過...
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Published in | 医療 Vol. 25; no. 2; pp. 91 - 101 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
医療同好会
1971
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ISSN | 0021-1699 |
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Summary: | 近年, 本邦の胆石症も次第に欧米化の傾向を示し, コレステリン系結石の占める割合が多くなつてきたといわれるが, われわれの施設においては依然としてビリルビン系結石が大部分を占めている. これら症例のうち, 胆管結石手術例については, 術後の遺残結石あるいは結石再発のために結石排除の目的で再手術の必要に迫られる場合も稀ではない. 一方, 胆道系手術が今日のように一般化した反面では, 時として安易な胆嚢摘出術や総胆管切開術などが行なわれ, これが術中胆道損傷や術後の瘢痕性胆道狭窄を招来することがある. このような胆道損傷や狭窄が発生した場合, 早期に適切な措置が講じられなければその患者は悲惨な経過をとることはいうまでもない. これらのごときは術者の不注意や粗暴な手術操作に由来するいわば1種の医原病ともみなされるべきものであり, 不幸な患者の救済にはわれわれは全力を投じなければならない. 最近著者らは重篤な術中胆道損傷の1症例に遭遇したが, これに対してシリコン加工プラスチツクチユーブを架橋としたRoux-Y型肝管空腸吻合術を施行して一応満足すべき結果を得た. また総胆管結石, 肝内結石などに対しても積極的に総胆管空腸吻合術を施行していずれも好結果を得ているので, いまだ症例数も少なく術後追跡期間も充分とはいえないがわれわれの経験のあらましについて述べてみたい. |
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ISSN: | 0021-1699 |