中大脳動脈閉塞症の5例(黄体卵胞ホルモン服用中発症の1例を含む)

昭和42年3月から5月にかけて, 相次いで入院した意識障害の軽い片麻痺患者5例に, 脳血管撮影を行ない, 中大脳動脈の閉塞が証明された. これらの症例の臨床像を記載し, 本症の診断, 治療方針の決定および予後を推定する上にも脳血管撮影の有効なることをのべ, さらに抗凝血剤の脳動脈潅流で良結果を得た症例があるので報告する. なお1例は黄体卵胞ホルモン服用後に脳血栓をきたしたと推定される症例である. 「症例」症例1 林○ヤ○ 74才 女性 既往歴および家族歴に特記すべきものなし. 現病歴: 昭和42年2月24日ごろから右手のしびれ感あり. 指尖から漸次動かなくなり, 1週間の経過で右片麻痺, 嚥下...

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Published in医療 Vol. 24; no. 3; pp. 197 - 203
Main Authors 大村一郎, 石川勝憲, 石部武, 西内明子, 市原紀久雄, 栗村統, 中川俊文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 医療同好会 1970
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Summary:昭和42年3月から5月にかけて, 相次いで入院した意識障害の軽い片麻痺患者5例に, 脳血管撮影を行ない, 中大脳動脈の閉塞が証明された. これらの症例の臨床像を記載し, 本症の診断, 治療方針の決定および予後を推定する上にも脳血管撮影の有効なることをのべ, さらに抗凝血剤の脳動脈潅流で良結果を得た症例があるので報告する. なお1例は黄体卵胞ホルモン服用後に脳血栓をきたしたと推定される症例である. 「症例」症例1 林○ヤ○ 74才 女性 既往歴および家族歴に特記すべきものなし. 現病歴: 昭和42年2月24日ごろから右手のしびれ感あり. 指尖から漸次動かなくなり, 1週間の経過で右片麻痺, 嚥下障害をきたし, 3月31日入院した. 症例2 広○悦○ 24才 女性 既往歴: 小児期にジフテリアに罹患した他は著患なし. 家族歴: 特記すべきものなし. 現病歴: 昭和42年3月27日夜, 結婚のため黄体卵胞ホルモン剤を服用していたが, ふらふら感をきたし, 4月1日には左片麻痺および強度の全身倦怠感を訴えて入院した.
ISSN:0021-1699