No.39 冷え症に対する下肢低周波鍼通電療法の効果―SF-8の下位尺度(体の痛み)得点を指標とした比較検討

[目的]冷え症(血管運動神経障害)者を健康関連QOLの下位尺度‘体の痛み(BP)'得点で2群に分類し, 低周波鍼通電療法(EAT)の効果を比較検討した. [方法]対象は冷え症を自覚し, 起立負荷試験により下肢血管反応に異常を呈した女性20名(平均年齢20.6±2.5歳)とした. EATは週1回, 計5回, 左右三陰交(SP6)に40mm・20号のステンレス鍼を約15mm刺入して周波数1Hzで20分間とした. 評価には冷えを含む14症状の6件法と冷えの程度をVisual Analogue Scale(VAS)で回答する独自の評価票を用いた. また, 健康関連QOLにはSF-8日本語版(...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 75; no. 1; p. 54
Main Authors 坂口俊二, 小島賢久, 宮嵜潤二, 竹田太郎, 久下浩史, 佐々木和郎, 森英俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本温泉気候物理医学会 2011
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Summary:[目的]冷え症(血管運動神経障害)者を健康関連QOLの下位尺度‘体の痛み(BP)'得点で2群に分類し, 低周波鍼通電療法(EAT)の効果を比較検討した. [方法]対象は冷え症を自覚し, 起立負荷試験により下肢血管反応に異常を呈した女性20名(平均年齢20.6±2.5歳)とした. EATは週1回, 計5回, 左右三陰交(SP6)に40mm・20号のステンレス鍼を約15mm刺入して周波数1Hzで20分間とした. 評価には冷えを含む14症状の6件法と冷えの程度をVisual Analogue Scale(VAS)で回答する独自の評価票を用いた. また, 健康関連QOLにはSF-8日本語版(スタンダード版)を用いた. [成績]対象者を治療前のSF-8のBP得点から国民標準値42.75点より得点の低い(QOLが低い)L群12名と得点の高いH群8名に分類した. VAS値には両群間でEATによる有意な改善はみられなかったが, 14症状の合計得点はL群で治療第2週から治療前に比べて有意に低下し, その効果は治療終了1ヵ月後まで持続していた. SF-8の下位尺度では, BP, ‘活力(VT), ‘心の健康(MH)'についてL群で治療前に比べて, 治療終了後および治療終了1ヵ月後に有意な得点上昇が得られた. [考察]三陰交へのEATは下肢血管の正常化による全身症状・健康関連QOLの改善に寄与し, その効果は健康関連QOLが低い(BPが強い)程高いことが示唆された.
ISSN:0029-0343