No.10 温熱負荷に対する生体反応の差 -その2:内皮細胞機能の観点から

[目的]温熱負荷に対する生体反応の差に関わる要因について, 体質や自覚的「冷え」の程度だけでなく, 客観的な指標である遺伝子(SNPs)や内皮細胞機能とそれに影響する血中成分(AGEs:Advanced Glycation Endproducts)などとの関連性について検討した[対象と方法]健康成人97名を対象に(平均年齢37.4±10.6歳), 42℃, 30分間の足浴を行い, 足浴前と足浴30分目の舌下温, 血圧, 心拍, 心拍変動値を求めた. Heat hyperemiaをレーザードップラー法にて測定し, 温度負荷前と後30分間の変化率から内皮細胞機能を推定した. また「冷え」の程度を示...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 74; no. 1; p. 34
Main Authors 許鳳浩, 上馬場和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本温泉気候物理医学会 2010
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Summary:[目的]温熱負荷に対する生体反応の差に関わる要因について, 体質や自覚的「冷え」の程度だけでなく, 客観的な指標である遺伝子(SNPs)や内皮細胞機能とそれに影響する血中成分(AGEs:Advanced Glycation Endproducts)などとの関連性について検討した[対象と方法]健康成人97名を対象に(平均年齢37.4±10.6歳), 42℃, 30分間の足浴を行い, 足浴前と足浴30分目の舌下温, 血圧, 心拍, 心拍変動値を求めた. Heat hyperemiaをレーザードップラー法にて測定し, 温度負荷前と後30分間の変化率から内皮細胞機能を推定した. また「冷え」の程度を示す問診表(山田ら), 中医学的体質問診表(王&朱ら)も記入してもらった. 血漿AGEはELISA法で測定した. 「冷え」問診表のスコアに基づいて, 最高値群9名と最低値群9例の計18例について, 生理・生化学的検査値を比較した. また代謝関連遺伝子変異の有無群での体温の変化の差も調査した. [結果と考察]「冷え」スコアの高値群と低値群では, AGE値, Heat hyperemiaに有意な差を認めた. また, ADRB3とUCP1のSNPsについて, wild群とhomo/hetero群とで, 舌下温の変化に差がある傾向を認めた. 温度負荷への反応性は, 体内の代謝や内皮細胞機能と関連し, それが主観的な冷えや体質を決定づけている可能性が示唆された.
ISSN:0029-0343