No.9 温熱負荷に対する生体反応の差 -その1:「冷え」問診表の観点から

[目的]温熱負荷に対する生体の反応性は, 体質や体内の様々な調節機構(体温調節機構, 自律神経など)と関連するが, その生体反応の差の要因についての報告は少ない. 今回, 同一局所(足浴)への温熱負荷による生理的反応性の差の要因について, 「冷え」の程度や伝統医学的体質の問診表の結果との関連性について検討した. [対象と方法]健康成人97名を対象に(男性47名, 平均年齢35.5±11.2歳, 女性50名, 平均年齢39.1±9.7歳), 42℃, 30分間の足浴を行い, 足浴前15分と足浴後10分, 計55分間, 血圧, 心拍, 舌下温, 皮膚血流速度, 心拍変動などの変化を測定した. また...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 74; no. 1; p. 34
Main Authors 許鳳浩, 上馬場和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本温泉気候物理医学会 2010
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:[目的]温熱負荷に対する生体の反応性は, 体質や体内の様々な調節機構(体温調節機構, 自律神経など)と関連するが, その生体反応の差の要因についての報告は少ない. 今回, 同一局所(足浴)への温熱負荷による生理的反応性の差の要因について, 「冷え」の程度や伝統医学的体質の問診表の結果との関連性について検討した. [対象と方法]健康成人97名を対象に(男性47名, 平均年齢35.5±11.2歳, 女性50名, 平均年齢39.1±9.7歳), 42℃, 30分間の足浴を行い, 足浴前15分と足浴後10分, 計55分間, 血圧, 心拍, 舌下温, 皮膚血流速度, 心拍変動などの変化を測定した. また, 「冷え」の程度を示す問診表(山田ら)と中国医学体質問診表(王, 朱ら)も記入してもらった. 本実験は富山大学倫理審査委員会ならびに日本補完代替医療学会倫理委員会の承認を得, 文書によるインフォームド・コンセントを取得した後実験を行った. [結果と考察]「冷え」問診表のスコアにより分類された高値群と低値群, あるいは陽虚体質スコアの高低により, 温熱負荷前の血圧や自律神経機能に差がみられた. さらに舌下温の温熱負荷による変化(安静時と入浴後の最高値の差)にも有意な違いが見られた. 温熱負荷による生理的反応性の差に, 「冷え」や陽虚体質という主観的症状から推定される体質が関連していることが示唆された.
ISSN:0029-0343