温海水によるジェット水流浴(バンジェバス)の柔軟性及び血流動態に及ぼす効果

[目的] 海水を利用した療法であるタラソテラピー(海洋療法)の手段として用いられている温海水によるジェット水流浴(バンジェバス)の効果を, 真水との比較から海水が柔軟性及び血流動態にどのような影響を及ぼすのかを検討した. [方法] 健康な11名の男性を被験者として, 20分間の入浴(34~36℃)を行い, その後20分間の休息をとった. 入浴の種類として, マッサージ効果の期待できるジェット水流あり(以下動水)とジェット水流なし(以下静水)の2条件を海水と真水で同様に行った. 全被験者は, 4種類の入浴を数日の間をおき, 全て行った. なお, 各入浴法の試行順序はランダムになるように配慮した....

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 64; no. 1; pp. 38 - 39
Main Authors 山本利春, 山本剛央, 河谷彰子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本温泉気候物理医学会 2000
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Summary:[目的] 海水を利用した療法であるタラソテラピー(海洋療法)の手段として用いられている温海水によるジェット水流浴(バンジェバス)の効果を, 真水との比較から海水が柔軟性及び血流動態にどのような影響を及ぼすのかを検討した. [方法] 健康な11名の男性を被験者として, 20分間の入浴(34~36℃)を行い, その後20分間の休息をとった. 入浴の種類として, マッサージ効果の期待できるジェット水流あり(以下動水)とジェット水流なし(以下静水)の2条件を海水と真水で同様に行った. 全被験者は, 4種類の入浴を数日の間をおき, 全て行った. なお, 各入浴法の試行順序はランダムになるように配慮した. 測定項目は, 腰痛との関連性を持つ柔軟性の指標として, 長座位体前屈の測定(以下柔軟性)を行い, 血流量の測定は超音波血流計を用いて, 後脛骨動脈(足首内側部)の血流速度を測定した. [結果と考察] 柔軟性では, 全ての条件とも入浴前後に有意な差は認められなかったが, 海水・動水条件の入浴が他の条件に比べて最も入浴後の増加率が高かった. 血流量は, 海水・動水では, 出浴20分後で入浴前の59%の有意な増加がみられ, 海水・静水でも48%の有意な増加が認められた. 真水の条件では, いずれも有意な増加は認められなかった. 被験者の主観的快適度を20項目のアンケートで調査したところ, 入浴後の快適度指数の増加率は, 海水・動水(28%)>真水・動水(16%)>海水・静水(10%)>真水・静水(8%)の順で海水・動水条件の快適度が最も高かった. これらの効果は健康増進, 疾病予防を目的とした療法の科学的裏付けの一つとなり得ると考えられた.
ISSN:0029-0343