3.内分泌動態からみた温泉療法

温泉療法には, 生体に対する直接的な作用因子として, 急性水浴時の温熱作用, 静水圧や浮力の物理作用, 温泉中の溶存物質による化学作用などがあげられる. さらに間接的作用因子として, 転地による心理効果, 温泉療養地の気候環境の作用などが考えられる. 温泉療法の意義は, これらの刺激がある期間反復負荷されて, 生体が新しい治療環境に適応する過程で, 外的刺激に対する抵抗性や内部環境の恒常性維持能の増強を期待するものであるといえる. そして環境条件の変化に応ずる生体活動の調節に主要な役割を演ずるものが内分泌系である. 今回は, 温泉療法の基本形式である水浴による温度刺激と, 長期療法に対する内分...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 48; no. 1; pp. 9 - 12
Main Authors 阿岸祐幸, 井出肇, 浅沼義英, 藤屋秀一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本温泉気候物理医学会 1984
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Summary:温泉療法には, 生体に対する直接的な作用因子として, 急性水浴時の温熱作用, 静水圧や浮力の物理作用, 温泉中の溶存物質による化学作用などがあげられる. さらに間接的作用因子として, 転地による心理効果, 温泉療養地の気候環境の作用などが考えられる. 温泉療法の意義は, これらの刺激がある期間反復負荷されて, 生体が新しい治療環境に適応する過程で, 外的刺激に対する抵抗性や内部環境の恒常性維持能の増強を期待するものであるといえる. そして環境条件の変化に応ずる生体活動の調節に主要な役割を演ずるものが内分泌系である. 今回は, 温泉療法の基本形式である水浴による温度刺激と, 長期療法に対する内分泌系動態につき, われわれの成績を中心に述べてみたい.
ISSN:0029-0343