6. ボツリヌス菌の由来と性状(第3報)-DNA相同性と抗菌剤感受性

わが国の乳児ボツリヌス症由来A型菌は乳のみマウス病原性が高く, 毒素の血球凝集活性が陰性などの点で従来の食中毒起因菌と異なっている. 今回, 種々の由来の20菌株について, DNA相同性と各種の抗菌剤感受性を比較検討した. その結果, 供試菌株間のホモロジー値は82-100%の範囲で, 由来間での差はみられなかった. 感受性試験では, 香辛料のエタノール抽出液に対して, とくにメースとナツメグで菌株により異なる成績が得られたが, 由来毎の特徴はみられなかった. 13種の各系の抗生物質, あるいは亜硝酸塩, ソルビン酸などの食品添加物に対する態度は各菌株とも極めて類似していた. すなわち, ボツ...

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Published in日本細菌学雑誌 Vol. 49; no. 2; pp. 408 - 409
Main Authors 中野宏幸, 三原丈典, 山口亮, 山崎晋也, 川上英之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本細菌学会 1994
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Summary:わが国の乳児ボツリヌス症由来A型菌は乳のみマウス病原性が高く, 毒素の血球凝集活性が陰性などの点で従来の食中毒起因菌と異なっている. 今回, 種々の由来の20菌株について, DNA相同性と各種の抗菌剤感受性を比較検討した. その結果, 供試菌株間のホモロジー値は82-100%の範囲で, 由来間での差はみられなかった. 感受性試験では, 香辛料のエタノール抽出液に対して, とくにメースとナツメグで菌株により異なる成績が得られたが, 由来毎の特徴はみられなかった. 13種の各系の抗生物質, あるいは亜硝酸塩, ソルビン酸などの食品添加物に対する態度は各菌株とも極めて類似していた. すなわち, ボツリヌス第I群菌はDNA相同性と薬剤感受性の点からは由来を問わず均一と考えられる.
ISSN:0021-4930