1. 脾摘マウスにおけるリステリア初期感染防御能の検討

脾摘により一般に感染抵抗性の低下を来たすが, リステリア等の細胞内寄生菌に対しては逆に抵抗性の増強が認められている. われわれは脾摘マウスにリステリアを感染させ, 初期防御の面から抵抗性の機序を解析した. 感染前脾摘群は著明なリステリア(静脈内感染)抵抗性を示したのに対し, 感染後脾摘群は生存期間は延長したが, 菌排除は不完全で全例が死亡した. 肝内菌数は, 感染1時間後は脾摘群が多いが, 6時間後には脾内菌数の著増した対照群の方が多数を示した. 腹腔内感染では腹腔内, 肝内菌数に差はなかった. また, 脾摘により肝クッパー細胞の貪食活性は増強傾向を示したが, NK細胞の感染抵抗能に差はなかっ...

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Published in日本細菌学雑誌 Vol. 48; no. 3; p. 579
Main Authors 四ノ宮成祥, 鶴純明, 四ノ宮美保, 萱嶋信介, 桂善也, 脇山博之, 六反田亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本細菌学会 1993
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Summary:脾摘により一般に感染抵抗性の低下を来たすが, リステリア等の細胞内寄生菌に対しては逆に抵抗性の増強が認められている. われわれは脾摘マウスにリステリアを感染させ, 初期防御の面から抵抗性の機序を解析した. 感染前脾摘群は著明なリステリア(静脈内感染)抵抗性を示したのに対し, 感染後脾摘群は生存期間は延長したが, 菌排除は不完全で全例が死亡した. 肝内菌数は, 感染1時間後は脾摘群が多いが, 6時間後には脾内菌数の著増した対照群の方が多数を示した. 腹腔内感染では腹腔内, 肝内菌数に差はなかった. また, 脾摘により肝クッパー細胞の貪食活性は増強傾向を示したが, NK細胞の感染抵抗能に差はなかった. 一方, リステリア感染抵抗性に相関するMac-1表現は, 肝クッパー細胞に比べ脾Mφで有意に低値を示した. 以上の結果より, 脾摘マウスでの感染抵抗性増強は, 抗リステリア活性の低い脾内Mac-1陰性Mφが除かれることによると考えられた.
ISSN:0021-4930