38. 病原ビブリオのhemolysinによる溶血機構

われわれは皮膚の炎症や敗血症の原因細菌であるVibrio vulnificusが産生するhemolysin (VVH)の作用機構について報告してきた. 最近, 他の病原性ビブリオにおいてhemolysinの類似性が明らかにされたので, 今回VVHとV. mimicusのhemolysin (VMH)の作用機構の比較を行った. 両方のhemolysinは3つの過程で溶血を起こした. つまり, 温度非依存的に赤血球膜に結合したのち温度依存的に低分子物質の透過が可能な小孔を開け, 次いで温度非依存的に赤血球膜を破壊した. そして最後の過程はカチオンで抑制された. しかし, VVHに対する抗体による免...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本細菌学雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 461
Main Authors 呉銀, 笹原一裕, 石田和彦, 三好伸一, 篠田純男, 保田立二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本細菌学会 1993
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:われわれは皮膚の炎症や敗血症の原因細菌であるVibrio vulnificusが産生するhemolysin (VVH)の作用機構について報告してきた. 最近, 他の病原性ビブリオにおいてhemolysinの類似性が明らかにされたので, 今回VVHとV. mimicusのhemolysin (VMH)の作用機構の比較を行った. 両方のhemolysinは3つの過程で溶血を起こした. つまり, 温度非依存的に赤血球膜に結合したのち温度依存的に低分子物質の透過が可能な小孔を開け, 次いで温度非依存的に赤血球膜を破壊した. そして最後の過程はカチオンで抑制された. しかし, VVHに対する抗体による免疫的な検討とVVHの遺伝子プローブを用いた遺伝学的な研究ではVMHとの相同性は認められなかった.
ISSN:0021-4930