当院における障害児眼科診療の現状
目的:子どもの発達における視覚機能の意義は大きく, 眼科診療は療育に深く関わる分野である. 総合障害児療育機関での眼科診療の現状について報告し, そのあり方を検討した. 方法:1998年1月~2000年12月の3年間に当院で行われた眼科診療の状況を調査し分析した. 結果:非常勤眼科医及び視機能訓練士の診療のべ日数は1998年には24日, 1999年は36日, 2000年は48日, のべ人数は1998年には261人, 1999年は431人, 2000年は460人であった. 対象疾患は, 屈折異常, 眼球運動障害, 斜視, 先天異常, 視神経萎縮など視覚認知にも関連した小児眼科領域や神経眼科領域の...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 38; no. suppl; p. S349 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
2001
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 目的:子どもの発達における視覚機能の意義は大きく, 眼科診療は療育に深く関わる分野である. 総合障害児療育機関での眼科診療の現状について報告し, そのあり方を検討した. 方法:1998年1月~2000年12月の3年間に当院で行われた眼科診療の状況を調査し分析した. 結果:非常勤眼科医及び視機能訓練士の診療のべ日数は1998年には24日, 1999年は36日, 2000年は48日, のべ人数は1998年には261人, 1999年は431人, 2000年は460人であった. 対象疾患は, 屈折異常, 眼球運動障害, 斜視, 先天異常, 視神経萎縮など視覚認知にも関連した小児眼科領域や神経眼科領域の疾患が比較的多く, その他, 結膜炎, 角膜炎, 兎眼等による角膜潰瘍, 緑内障, 白内障, 睫毛内反, 眼瞼疾患など多岐にわたった. 治療は薬物治療と眼鏡の処方が主体で, 手術は睫毛内反および霰粒腫に限り12例を行った. 視機能訓練士の診療は視力検査が主体で, 継続した視機能訓練等はほとんど行われていなかった. 結論:障害児医療機関における潜在的な眼科受診の需要は高く, その内容も専門性が高いことが示唆された. 幼少児や知的障害を持つ患者の多い当院の診療では, 理解力を要する眼科的検査が困難である点にも特殊性があり, 障害児眼科としてのより専門的な技術が要求された. 一方, 小児のリハビリテーションの効果は視覚, 聴覚などの感覚受容にも大きく影響され, 眼科診療においては発達的視点を基礎に持った視機能訓練等も必要と考えられる. 療育機関としての側面から見た場合, 現状の対応は不十分であり今後の課題と考えられた. |
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ISSN: | 0034-351X |