高次脳機能障害者の実態調査報告

近年高次脳機能障害者が注目されているが生活実態は明らかでなかった. 今回我々は東京都の高次脳機能障害者実態調査を施行したので報告する. (対象および方法)(1)1次調査(「高次脳機能障害者の実態調査について-第1報」発表)に回答された1234名から障害, 疾患, 年代, 受傷後期間で偏りがないように300名抽出し対象施設に再依頼(2)主治医等から本人・家族の同意を確認しアンケートを送付(3)調査員が訪問しアンケートを回収した. (調査期間)平成11年12月23日~12年1月23日. (調査内容)(1)障害の状況:手帳の所持, リハビリ経験(2)日常生活状況(3)年金・所得・就業状況(4)相談機...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. suppl; p. S344
Main Authors 高橋玖美子, 本田哲三, 遠藤てる, 相楽多恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2001
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ISSN0034-351X

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Summary:近年高次脳機能障害者が注目されているが生活実態は明らかでなかった. 今回我々は東京都の高次脳機能障害者実態調査を施行したので報告する. (対象および方法)(1)1次調査(「高次脳機能障害者の実態調査について-第1報」発表)に回答された1234名から障害, 疾患, 年代, 受傷後期間で偏りがないように300名抽出し対象施設に再依頼(2)主治医等から本人・家族の同意を確認しアンケートを送付(3)調査員が訪問しアンケートを回収した. (調査期間)平成11年12月23日~12年1月23日. (調査内容)(1)障害の状況:手帳の所持, リハビリ経験(2)日常生活状況(3)年金・所得・就業状況(4)相談機関の利用状況, 困っている内容(自由記載)など. (結果)(1)調査票回収:総数109名(訪問90, 郵送19)(2)手帳所有79%(うち身障手帳98%-1級43%, 2級32%)(2)リハビリ経験あり98%(PT71%, OT81, ST66, 認知訓練12)(2)基本的ADL(食事/トイレ/室内移動)より買い物/銀行・役所の用事/金銭管理などIADL障害著明(3)年金は50.5%が受けてなく, 収入は年間49万円以下が最も多い(20%)(4)発症後に会社員(39→24%), 公務員(11→8%), 自営業(14→4%)は減少, 無職が激増(3.7→45%)(5)33%が相談機関利用経験なく, 本人/家族は「障害の症状」「介護の負担」に困っていた. (まとめ)(1)本障害の特徴(ADL障害<IADL障害)と重篤さが明らかになった. (2)今後医師・福祉職員への啓蒙と医療(リハビリ)/福祉制度基盤の確立が必要である.
ISSN:0034-351X