TKA術後の慢性関節リウマチ患者のQOLに関する検討

「目的」慢性関節リウマチ(RA)は長期間に及ぶ疼痛の持続と進行する関節変形のため患者の身体, 精神, 社会的損失は極めて大きい. 従来, RAの治療効果判定には, 臨床症状, X線像などの臨床評価が高い比重を占めてきたが最近ではQOLの評価を含めた総合的な判断が重要とされている. 今回我々はTKAを施行したRA患者の臨床評価とQOLとの関連につき検討した. 「対象・方法」1979年から1998年に当科でTKAを施行したRA患者35例49膝を対象とした. 手術時年齢は39歳から81歳(平均67.0歳), 術後観察期間は2年から16年(平均7年2ヶ月)である. 臨床成績の評価にはJOA score...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. suppl; p. S338
Main Authors 山本謙吾, 今給黎篤弘, 冬木寛義, 松浦清人, 正岡利紀, 間中昌和, 白須秀男, 佐野裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2001
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Summary:「目的」慢性関節リウマチ(RA)は長期間に及ぶ疼痛の持続と進行する関節変形のため患者の身体, 精神, 社会的損失は極めて大きい. 従来, RAの治療効果判定には, 臨床症状, X線像などの臨床評価が高い比重を占めてきたが最近ではQOLの評価を含めた総合的な判断が重要とされている. 今回我々はTKAを施行したRA患者の臨床評価とQOLとの関連につき検討した. 「対象・方法」1979年から1998年に当科でTKAを施行したRA患者35例49膝を対象とした. 手術時年齢は39歳から81歳(平均67.0歳), 術後観察期間は2年から16年(平均7年2ヶ月)である. 臨床成績の評価にはJOA score,QOLの評価にはAIMSを日本人の生活様式に合わせて簡略化した簡易AIMSと満足度アンケート調査を用いた. 「結果」JOA scoreでは術前平均40.3点が術後平均67.1点になり特に疼痛, 歩行能力の改善が著明であった. 簡易AIMSは全ての要素で点数が上昇し術前平均65.7点から術後平均77.2点に改善し, 精神的要素の改善度が高かった. 「考察」JOA scoreは関節の疼痛, 可動域等の評価に重点が置かれ, 今回の調査でも術後は平均27点近く改善した. しかし簡易AIMSの各項の中でJOA scoreとの相関を認めるのは身体的要素のみで, 多関節の進行性疾患であるRAに重要な社会的, 精神的要素はJOA scoreのみの評価では困難である. RAの手術適応の判断は生物学的機能, ADLの見地のみならずQOLの観点をも重視すべきである.
ISSN:0034-351X