骨盤輪の連続性が断たれた骨盤腫瘍摘出後の再建術と機能評価

「目的」骨盤腫瘍摘出により, 骨盤輪の連続性が断たれた症例の再建方法と下肢機能を検討した. 「方法」対象は, 当科において手術を施行した悪性骨盤腫瘍13例のうち5例(Ewing肉腫2例, 骨転移2例, 軟骨肉腫1例)と, 骨巨細胞腫の1例である. 全例男性で, 手術時年齢は17~58歳である. 再建方法は, 腸骨翼を切除した2例中1例には血管柄付腓骨移植とCD法による固定を, 他の1例にはセメント固定を行った. 臼蓋を含めて切除した4例中3例に対しては, それぞれ人工骨盤, 腓骨移植による骨盤輪の再建, 腸骨-大腿骨間固定術を行い, 1例は再建を行わずflail hipとした. 術後の下肢機能...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. suppl; p. S313
Main Authors 岡史朗, 辻伸太郎, 森諭史, 乗松尋道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2001
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Summary:「目的」骨盤腫瘍摘出により, 骨盤輪の連続性が断たれた症例の再建方法と下肢機能を検討した. 「方法」対象は, 当科において手術を施行した悪性骨盤腫瘍13例のうち5例(Ewing肉腫2例, 骨転移2例, 軟骨肉腫1例)と, 骨巨細胞腫の1例である. 全例男性で, 手術時年齢は17~58歳である. 再建方法は, 腸骨翼を切除した2例中1例には血管柄付腓骨移植とCD法による固定を, 他の1例にはセメント固定を行った. 臼蓋を含めて切除した4例中3例に対しては, それぞれ人工骨盤, 腓骨移植による骨盤輪の再建, 腸骨-大腿骨間固定術を行い, 1例は再建を行わずflail hipとした. 術後の下肢機能は, Ennekingの機能評価を用いた. 術後追跡期間は, 5~67ヵ月(平均35ヵ月)である. 「結果」腫瘍切除縁は, 4例が広範囲, 2例が腫瘍内であったが, 全例局所再発は認めなかった. 3例は, 他部位の転移により術後平均38ヵ月にて死亡した. 腓骨を用いて骨盤輪を再建した2例と腸骨-大腿骨間固定術を施行した1例の機能評価は, それぞれ97%, 93%, 83%と良好な成績が得られた. 人工骨盤による再建を行った1例は, 人工骨盤による圧迫のため大腿神経が圧排され術後大腿神経麻痺が発生し, 機能評価は23%にとどまった. 「結論」腸骨翼の再建には, 血管柄付腓骨移植に併用したpedicular screw systemが有用である. 股関節を含めて切除した場合には, 腸骨-大腿骨間固定術が関節固定, 脚短縮等の問題点はあるものの機能評価は良好であった.
ISSN:0034-351X