人工股関節全置換術後の早期荷重における荷重・歩容の変化
「目的」近年, 人工股関節全置換術(THA)後の荷重時期について, X線学的評価による固定性の観点から早期荷重が支持されている. しかし, 実際に全荷重でき歩容が回復する時期は不明である. 我々はTHA術後早期荷重による荷重・歩容の回復状況を定量的に検討した. 「対象・方法」片側罹患20例20関節(男性7例, 女性13例)を対象とし, 健側と同等に回復する時期を検討した. 原疾患は変形性股関節症17例, 大腿骨頭壊死症3例であり, 手術時平均年齢は53歳(20~71歳)であった. 後療法は全症例とも術後4日目より全荷重を許可した. 術前及び術後1,3,6ヶ月の時点で床反力計, 3次元動作解析装...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 38; no. suppl; p. S280 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
2001
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」近年, 人工股関節全置換術(THA)後の荷重時期について, X線学的評価による固定性の観点から早期荷重が支持されている. しかし, 実際に全荷重でき歩容が回復する時期は不明である. 我々はTHA術後早期荷重による荷重・歩容の回復状況を定量的に検討した. 「対象・方法」片側罹患20例20関節(男性7例, 女性13例)を対象とし, 健側と同等に回復する時期を検討した. 原疾患は変形性股関節症17例, 大腿骨頭壊死症3例であり, 手術時平均年齢は53歳(20~71歳)であった. 後療法は全症例とも術後4日目より全荷重を許可した. 術前及び術後1,3,6ヶ月の時点で床反力計, 3次元動作解析装置を用いて, 歩行速度, step長, cadence, 床反力成分, 股関節角度を計測した. また, 術前両下肢CTから筋肉の面積を計測し下肢筋萎縮の指標とした. 「結果・考察」日整会股関節機能判定基準は, 術前平均疼痛14.4点が術後1ヶ月で33.2点, 歩行能力は術前10.2点が術後1ヶ月で12.4点, 3ヶ月で18.8点と改善した. 時間距離因子は経時的回復を認め, 股関節屈曲角は術後3ヶ月で健側と同程度に回復していたが伸展角は殆んど回復を認めなかった. 抜重効果, 床反力鉛直成分の平均値は術後3ヶ月で健側と同程度に回復していたが術前患側筋萎縮の著しい症例で回復は遅延していた. 術後免荷期間をおいた諸家の報告と比べて, 本研究ではより早期に歩行時の荷重・歩容の回復を認め, 術前の下肢筋萎縮の程度が術後患側への荷重状況に影響を与えていると考えられた. |
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ISSN: | 0034-351X |