誤嚥性肺炎患者のVideofluorography所見の特徴についての検討

摂食・嚥下障害患者においてしばしば重篤な問題となる誤嚥性肺炎について, そのVideofluorography(以下VF)所見の特徴を明らかにする目的で, 以下の研究を行った. 「対象・方法」脳血管障害や神経変性疾患などの基礎疾患を有し, 摂食・嚥下障害が疑われVFを施行した198例(男性144名, 女性54名, 平均65.4歳)を対象とした. VF所見は誤嚥, 不顕性誤嚥(以下SA), 嚥下運動後の食塊の咽頭残留などの程度について検討した. そして, VF施行前後の2か月間に誤嚥性肺炎を発症したものとそうでなかったものとのVF所見の特徴を比較検討した. 「結果・考察」VFでの誤嚥は81例に,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. suppl; p. S145
Main Authors 水野雅康, 塚越卓, 本谷廣栄, 才藤栄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2001
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Summary:摂食・嚥下障害患者においてしばしば重篤な問題となる誤嚥性肺炎について, そのVideofluorography(以下VF)所見の特徴を明らかにする目的で, 以下の研究を行った. 「対象・方法」脳血管障害や神経変性疾患などの基礎疾患を有し, 摂食・嚥下障害が疑われVFを施行した198例(男性144名, 女性54名, 平均65.4歳)を対象とした. VF所見は誤嚥, 不顕性誤嚥(以下SA), 嚥下運動後の食塊の咽頭残留などの程度について検討した. そして, VF施行前後の2か月間に誤嚥性肺炎を発症したものとそうでなかったものとのVF所見の特徴を比較検討した. 「結果・考察」VFでの誤嚥は81例に, SAは51例に認められた, 一方, 誤嚥性肺炎は65例に認められた. 誤嚥性肺炎患者とそうでない患者のVF所見は, 誤嚥(液体)はそれぞれ66.2%(65例中43例), 28.6%(133例中38例)であり, 誤嚥(ペースト)は36.9%(65例中24例), 4.5%(133例中6名), SAは47.7%(65例中31例), 15.3%(133例中20例), 咽頭残留は67.7%(65例中44例), 42.1%(133例中56例)であった. また, SAを認めた患者とそうでない患者の誤嚥性肺炎の発症率はそれぞれ60.8%(51例中31例), 23.1%(147例中34例)であった. 以上より, 液体に加えペーストでさえも誤嚥しSAを認める患者では, 誤嚥性肺炎を来す可能性が高いため注意が必要である.
ISSN:0034-351X