パーキンソン病の経頭蓋的磁気刺激療法

近年, パーキンソン病, うつ病, 脊髄小脳変性などに対する経頭蓋磁気刺激療法が試みられるようになった. しかし, 臨床症状の改善の有無に関しては肯定的な意見と否定的な意見とに分かれているようである. 今回は, 磁気刺激装置(Magstim 200)を用いて4例のパーキンソン病患者に対して30回の低頻度頭部磁気刺激を行い, 刺激前後での臨床症状と電気生理学的変化を観察したので報告する. 対象は4人のパーキンソン病患者で, Yahrの2が1名, 3度が2名, 4度が1名である. 刺激頻度はinterstimulas intervalは厳密なものではないが0.5Hz程度のものとなっている. コイル...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. suppl; p. S109
Main Authors 紫藤泰二, 石川聖子, 木原薫, 二山勝也, 外間裕人, 赤城哲哉, 浅山滉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2001
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:近年, パーキンソン病, うつ病, 脊髄小脳変性などに対する経頭蓋磁気刺激療法が試みられるようになった. しかし, 臨床症状の改善の有無に関しては肯定的な意見と否定的な意見とに分かれているようである. 今回は, 磁気刺激装置(Magstim 200)を用いて4例のパーキンソン病患者に対して30回の低頻度頭部磁気刺激を行い, 刺激前後での臨床症状と電気生理学的変化を観察したので報告する. 対象は4人のパーキンソン病患者で, Yahrの2が1名, 3度が2名, 4度が1名である. 刺激頻度はinterstimulas intervalは厳密なものではないが0.5Hz程度のものとなっている. コイルは中間直径が90mmのシングルコイルである. 刺激回数は30回, 刺激強度は50μVのMEPが誘発できる出力を採用した. 磁気刺激の効果に関しては磁気刺激前後の自覚的, 他覚的症状の変化とinhibitory periodの変化について調査した. 症状の変化はYahr3の1例がon-off現象の出現頻度が刺激後1週間の調査中に7割程度に減少したと回答したが, 他は変化無しという回答であった. 振戦に関して磁気刺激前後の変化をtremogram(日本光電製, 加速度センサー:MTピックアップ)を用いて観察したがパーキンソン病に特徴的な6~8Hz域の減衰は観察されなかった. しかし, inhibitory periodに関しては4例1中例で磁気刺激後に短縮していた.
ISSN:0034-351X