高齢者腰椎の骨内循環動態

「目的」高齢者の圧迫骨折の有無による骨内循環の相違についてPETを用いて検討したので報告する. 「対象」65歳以上の男性のうち第3腰椎に圧迫骨折を認めない7例を対象とし, 第3腰椎以外に圧迫骨折を認めた群をA群(2例, 平均79歳), 認めなかった群をB群(5例, 平均77歳)とした. 「方法」PET装置には, SET-120Wシステム, 核種の合成には, BC-1710を使用した. 測定部位は, 第3腰椎椎体中央とし, 血流量の測定には, H_2 ^^15 O Dynamic study法, 血管床容積の測定には, C^^15 O steady state法を用いた. さらに, 血流速度(血...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; p. 877
Main Authors 久保俊一, 中村文紀, 城守国斗, 牧之段淳, 上島圭一郎, 平澤泰介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2000
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Summary:「目的」高齢者の圧迫骨折の有無による骨内循環の相違についてPETを用いて検討したので報告する. 「対象」65歳以上の男性のうち第3腰椎に圧迫骨折を認めない7例を対象とし, 第3腰椎以外に圧迫骨折を認めた群をA群(2例, 平均79歳), 認めなかった群をB群(5例, 平均77歳)とした. 「方法」PET装置には, SET-120Wシステム, 核種の合成には, BC-1710を使用した. 測定部位は, 第3腰椎椎体中央とし, 血流量の測定には, H_2 ^^15 O Dynamic study法, 血管床容積の測定には, C^^15 O steady state法を用いた. さらに, 血流速度(血流量/血管床容積)を求めた . 「結果および考察」第3腰椎の血流量は, A群が8.15±0.64(mean±SD)ml/min/100ml,B群が9.58±4.80ml/min/100mlであり, 血管床容積は, A群が6.24±0.77ml/100ml,B群が4.36±2.00ml/100mlであった. また血流速度は, A群が1.39±0.17/min,B群が2.30±0.79/minであった. 血流量, 血管床容積, 血流速度ともに両者の間に明らかな有意差を認めなかったが, B群と比較してA群では, 血流量は減少し血管床容積は増加, 血流速度は減少している傾向があった. 骨内循環動態は骨粗鬆症を基盤とした脊椎圧迫骨折の発生において考慮すべき因子と考えられる. 今後症例を蓄積するとともに骨代謝との関連も検討してゆきたい.
ISSN:0034-351X