変形性膝関節症に対する運動療法(大腿四頭筋等尺性運動)の効果

「目的」変形性膝関節症(膝OA)患者に対し大腿四頭筋等尺性運動としてSLR(Straight Leg Raising)運動を指導し, 運動学的, 電気生理学的に効果を検討したので報告する. 「対象」腰野分類グレード2以下の膝OA20患者38膝で, 瘡痛や水腫などの関節症症状を有する20患者28膝を症候群, うち症状をまったく認めない10患者の対側10膝を無症候群とした. 内訳は男性6人12膝, 女性14人26膝, 年齢は54~75歳で平均64.8歳, 平均罹患期間は18.3カ月であった. 「方法」SLR運動を90回/日指導し, 4,8,12週後にVisual analogue scaleによる...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; p. 833
Main Authors 宮口正継, 小林章郎, 格谷義徳, 小池達也, 山野慶樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2000
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Summary:「目的」変形性膝関節症(膝OA)患者に対し大腿四頭筋等尺性運動としてSLR(Straight Leg Raising)運動を指導し, 運動学的, 電気生理学的に効果を検討したので報告する. 「対象」腰野分類グレード2以下の膝OA20患者38膝で, 瘡痛や水腫などの関節症症状を有する20患者28膝を症候群, うち症状をまったく認めない10患者の対側10膝を無症候群とした. 内訳は男性6人12膝, 女性14人26膝, 年齢は54~75歳で平均64.8歳, 平均罹患期間は18.3カ月であった. 「方法」SLR運動を90回/日指導し, 4,8,12週後にVisual analogue scaleによる疼痛, Myoretを用いての膝屈曲伸展トルク, 表面筋電図を用いて膝周囲筋の平均周波数および, 外側筋と内側筋の仕事量の比(LMR)を筋電図積分値を用いて評価した. 「結果」一日平均施行回数は63.7回であった. 運動療法開始後, 疼痛は経時的に減少を認め, 8週でその差は有意となった. 無症候群では30度伸展トルクのみ33%増加を認め, 症候群では30度, 60度伸展(38%, 12%)および60度屈曲トルクで13%増加を認め, その差は8週より有意であった. OA膝ではLMRは高値を示すが, 症候群では経明的に減少傾向を認めた. 平均周波数に変化は認めなかった. 「結語」膝OA患者に対し, 8週間のSLR運動で有意な疼痛の改善と筋力の増強が得られた. SLR運動は高齢者でも自宅で簡単に行え, 膝関節の疼痛も伴わないため, 推奨されてよい方法である.
ISSN:0034-351X