障害者の体力評価

障害者の体力テストのスタンダードをつくる目的で, まず脊損車椅子者の測定方法の検討を行っている. これまでに握力, 肩腕力, 20m走, 5分間走(5分間持続運動), リピートターンの5項目を設定し, 測定時間や測定コースをどのように設定するのが妥当かについて検討した. 今回はリピートターンのターンをする距離の設定について決定することを目的に検討を行った. 対象は運動習慣のない脊損対麻痺者18名で, 年齢は35.3±12.9歳, 身長は169.4±5.9cm, 体重は61.3±10.7kg, 損傷レベルはC6~Th6が9名, Th7~12が7名, L1~5が2名である. 受傷歴は, 3カ月~8...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; pp. 760 - 761
Main Authors 伊佐地隆, 矢部京之助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2000
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Summary:障害者の体力テストのスタンダードをつくる目的で, まず脊損車椅子者の測定方法の検討を行っている. これまでに握力, 肩腕力, 20m走, 5分間走(5分間持続運動), リピートターンの5項目を設定し, 測定時間や測定コースをどのように設定するのが妥当かについて検討した. 今回はリピートターンのターンをする距離の設定について決定することを目的に検討を行った. 対象は運動習慣のない脊損対麻痺者18名で, 年齢は35.3±12.9歳, 身長は169.4±5.9cm, 体重は61.3±10.7kg, 損傷レベルはC6~Th6が9名, Th7~12が7名, L1~5が2名である. 受傷歴は, 3カ月~8年, 平均2年4カ月±2年2カ月. 完全麻痺が13名, 不全麻痺が5名である. 方法は, 各被験者についてリピートターンを3m, 4m, 5mで測定し, 両上肢の協調性をみる別のテスト(STEFテストの一つを応用したもの)を行い, 両テストの関連などを検討した. 験者, 被験者の意見も参考にした. その結果, 測定値のばらつきは3mが多かった. 各コース間の相関はどれも高かった. STEF変法との相関は5m, 3m, 4mの順に高かった. 経過年数別の比較で, 5mでは筋パワーの要素が多くなると考えられた. 損傷高位による差はなかった. 以上から, 筋パワーの要素を除くという点を重視し, STEF変法との相関も良く, 差も出やすいという観点で, 3mが適当と考えた.
ISSN:0034-351X