全国労災病院脊髄損傷治療調査

対象は, 全国の労災病院および関連の28施設で平成6~8年度に初回のリハビリテーション(以下, リハ)治療を終了した16~60歳の413名である. 男性が350名で平均年齢は42.2±12.2歳, 労災によるものが162名であった. 413名のうち62名が一般就労として職業復帰しており, 復帰率は15.0%であった. 若年の胸腰髄損傷対麻痺でも職業復帰率は20%程度であった. 職業リハ施設に移行したものは, わずか8名1.9%でしかなかった. 頸髄損傷の職業復帰率はフランケル分類A~Cが5.3%, Dが32%であったのに対し, 胸髄損傷ではA~Cが16.2%, Dでは0%, 腰髄損傷ではA~C...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 11; p. 732
Main Authors 徳弘昭博, 富永俊克, 住田幹男, 真柄彰, 内田竜生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1999
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:対象は, 全国の労災病院および関連の28施設で平成6~8年度に初回のリハビリテーション(以下, リハ)治療を終了した16~60歳の413名である. 男性が350名で平均年齢は42.2±12.2歳, 労災によるものが162名であった. 413名のうち62名が一般就労として職業復帰しており, 復帰率は15.0%であった. 若年の胸腰髄損傷対麻痺でも職業復帰率は20%程度であった. 職業リハ施設に移行したものは, わずか8名1.9%でしかなかった. 頸髄損傷の職業復帰率はフランケル分類A~Cが5.3%, Dが32%であったのに対し, 胸髄損傷ではA~Cが16.2%, Dでは0%, 腰髄損傷ではA~Cが19.0%, Dでは11.0%と頸髄と逆に不全損傷の職業復帰率が低い傾向を示していた. 脊髄損傷者の職業復帰には機能障害から社会的不利に至るさまざまな要素がありリハ医療の関係者が関与できる部分とできない部分がある. 病院の特性などは後者に含まれる. 今回の調査参加施設でもそれぞれの特徴があり, 職業復帰までの一貫したアプローチは必ずしも可能ではない. 標榜する勤労者医療との両立に苦慮するところであろうが, 職業復帰への方向付けは可能である. ゴールの設定, スタッフの意識・知識・技術の蓄積, 対象を限定したアプーチ, 施設間の機能分担などが職業復帰率を向上させると考えられる.
ISSN:0034-351X