大腿骨頸部骨折後の追跡調査

「目的」近年, 高齢者の寝たきりの原因として骨粗鬆症による骨折が増加しており, 注目されている. なかでも大腿骨頸部骨折は, 寝たきりになりやすいとされている. 今回, 大腿骨頸部骨折を生じた高齢者の退限後の経過, 特に要支援・要介護状態区分を知ることを主目的に追跡調査を行った. 「対象」平成4年1月~平成9年8月に町立病院(町の人口6,500人)で入院治療を行い退院した65歳以上の大腿骨頸部骨折患者41名, 45肢(男性7名7肢, 女性34名38肢, 平均年齢81.4歳)を対象とした. 受傷後追跡調査期間は4か月~6年(平均2年11か月)であった. 「方法」本人, 家族との面接あるいは電話に...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; pp. 816 - 817
Main Authors 重政勝之, 大石豪彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1998
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Summary:「目的」近年, 高齢者の寝たきりの原因として骨粗鬆症による骨折が増加しており, 注目されている. なかでも大腿骨頸部骨折は, 寝たきりになりやすいとされている. 今回, 大腿骨頸部骨折を生じた高齢者の退限後の経過, 特に要支援・要介護状態区分を知ることを主目的に追跡調査を行った. 「対象」平成4年1月~平成9年8月に町立病院(町の人口6,500人)で入院治療を行い退院した65歳以上の大腿骨頸部骨折患者41名, 45肢(男性7名7肢, 女性34名38肢, 平均年齢81.4歳)を対象とした. 受傷後追跡調査期間は4か月~6年(平均2年11か月)であった. 「方法」本人, 家族との面接あるいは電話による聞き取り調査を行った. 施設入所中の患者については, 職員より情報収集を行った. 「結果」治療法についてみると観血的治療を行った者が36名, 40肢(内固定術29肢, 人工骨頭置換術11), 保存的治療を行った者が5名, 5肢であった. 12名は死亡(受傷後平均余命8.2か月), 1名は所在が不明であった. 残りの28名について要支援・要介護状態区分を調べたところ要支援状態4名, 要介護状態区分II1名, 区分II2名, 区分III5名, 区分IV3名, 区分V3名であった. 大腿骨頸部骨折を契機に治癒後において要介護状態区分が増し, 寝たきりになった者も5名あった. 日常生活自立度の低下よりも痴呆の重度化が要介護状態区分度を増していることが明らかであった.
ISSN:0034-351X