新生児行動評価(NBAS)と縦断的発達評価

障害児の早期評価と早期療育をより確実なものとするために, コントロールとして正常新生児に対する縦断的発達評価研究を実施した. 【対象ならびに方法】対象児は合併症のない成熟児21名であった. 日齢1, 3, 7, 14の計4回, Brazelton新生児行動評価を行った. 6カ月, 1歳, 2歳時の発達評価はBayley法, 3歳, 5歳時の発達評価はMcCarthy法を実施した. 併せて, 生活環境調査も行った. 【結果ならびに考察】NBAS検査項目を7群に分類した. 生後7日目の結果は, 1)慣れ現象7.26±0.97, 2)聴覚刺激への定位反応6.43±1.10, 3)運動行動5.12±0...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 27; no. 7; p. 732
Main Authors 穐山富太郎, 川崎千里, 鶴崎俊哉, 川口幸義, 山口和正, 中村隆幸, 後藤ヨシ子, 大島吉英, 二宮義和, 末広昌嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1990
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Summary:障害児の早期評価と早期療育をより確実なものとするために, コントロールとして正常新生児に対する縦断的発達評価研究を実施した. 【対象ならびに方法】対象児は合併症のない成熟児21名であった. 日齢1, 3, 7, 14の計4回, Brazelton新生児行動評価を行った. 6カ月, 1歳, 2歳時の発達評価はBayley法, 3歳, 5歳時の発達評価はMcCarthy法を実施した. 併せて, 生活環境調査も行った. 【結果ならびに考察】NBAS検査項目を7群に分類した. 生後7日目の結果は, 1)慣れ現象7.26±0.97, 2)聴覚刺激への定位反応6.43±1.10, 3)運動行動5.12±0.86, 4)状態の変化性3.20±1.17, 5)状態の調節能力5.37±1.01, 6)自律系の安定性5.97±1.14, 7)反射1.05±1.32であった. 生後6カ月時の精神および運動発達は全例標準的発達を示しており, Bayley検査のDQは精神99.3±9.5, 運動101.0±4.9であった. 5歳時のMcCarthy検査によるIQは96.1±16.2で, 運動発達偏差値(標準値=50)は50.3±8.1であった. これら正常児群では, 調査時の生活リズムを含めた育児環境が, 精神, 運動発達に影響が大きかった. 新生児行動と長期的発達予後との関連は, 数項目で単発的に相関関係を認めたが, 大半で関係を認めなかった. 同時に研究調査したハイ・リスク児では, 諸行動に低得点値を示した. なかでもストレス徴候が反映されやすい補足項目や反射項目で異常値を示すものが多かつた. 答 穐山富太郎:(1)今回は正常新生児の標準的行動能力を知るために研究した. (2)新生児行動評価は決して難しくなく, 検著間のcertificationを得ることもできる.
ISSN:0034-351X