重度身体障害者の自立生活援助を目指したある身体障害者療護施設の試み

当施設は, 1972年, 療護施設の制度化とともに, 地元の郡市医師会によって地域福祉の向上を目指して設立された. 入所者の原因疾患としては, (1)脳性麻痺53名, (2)脊損4名, 頭部外傷4名, 脳血管障害8名, (3)関節リウマチ12名, 進行性筋萎縮症, 脊髄小脳変性症などの神経難病29名で, 男54名, 女56名の計110名が入所生活を送っている. 年齢は, 26~70歳で平均52歳と高齢化が進み, 障害の重度化と相まって, この17年間に68名が死亡している. 施設内生活の充実のために, 身体的, 精神的リハビリテーションとして, レクリエーション活動や文化活動に力を入れている....

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 27; no. 7; pp. 685 - 686
Main Authors 植川和利, 安東由喜雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1990
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Summary:当施設は, 1972年, 療護施設の制度化とともに, 地元の郡市医師会によって地域福祉の向上を目指して設立された. 入所者の原因疾患としては, (1)脳性麻痺53名, (2)脊損4名, 頭部外傷4名, 脳血管障害8名, (3)関節リウマチ12名, 進行性筋萎縮症, 脊髄小脳変性症などの神経難病29名で, 男54名, 女56名の計110名が入所生活を送っている. 年齢は, 26~70歳で平均52歳と高齢化が進み, 障害の重度化と相まって, この17年間に68名が死亡している. 施設内生活の充実のために, 身体的, 精神的リハビリテーションとして, レクリエーション活動や文化活動に力を入れている. 当施設の処遇内容は, 保護収容の生活援助から個別生活援助へと大きく変化しているが, 施設内自立生活援助のためには, 住環境の整備や福祉機器の導入も大きな課題となっている. さらに, 旧来の施設中心主義から在宅福祉, 地域福祉へと21世紀へ向けての福祉の変革が計られようとしている. このような中にあって, 地域福祉の中枢として, ショートスティやディサービス等の機能強化とともに, 障害者の文化活動, スポーツ, レクリエーション等の充実のために施設および地域住民との連携を深めているところである.
ISSN:0034-351X