2時間以上におよぶ心肺停止後に回復した低温溺水の1女児例
1歳7ヵ月女児. 平成15年3月10日長野県塩尻市の自宅庭の池(水温4℃)で心肺停止し, 浮いているところを発見された. By-StanderCPRでは心拍再開なく, 発見後1時間で当院に救急搬送された. 入院時, 体重10.3kg, 身長85cm, 意識レベルE1V1M1(GCS), 両側瞳孔散大, ECGasystole, 直腸温26℃, 静脈血液ガス pH6.417, pCo2 147.1, pO2 48.0, ABE -27.4, K+ 2.8, glu 496, CPK 402IU/mlであった. CPR継続下に, 加温乳酸リンゲル投与, 加温生食による胃洗浄を行われた. エピネフリ...
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Published in | 蘇生 Vol. 22; no. 3; p. 200 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
2003
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | 1歳7ヵ月女児. 平成15年3月10日長野県塩尻市の自宅庭の池(水温4℃)で心肺停止し, 浮いているところを発見された. By-StanderCPRでは心拍再開なく, 発見後1時間で当院に救急搬送された. 入院時, 体重10.3kg, 身長85cm, 意識レベルE1V1M1(GCS), 両側瞳孔散大, ECGasystole, 直腸温26℃, 静脈血液ガス pH6.417, pCo2 147.1, pO2 48.0, ABE -27.4, K+ 2.8, glu 496, CPK 402IU/mlであった. CPR継続下に, 加温乳酸リンゲル投与, 加温生食による胃洗浄を行われた. エピネフリンおよびアトロピン投与を開始後, 心室細動が出現し, 除細動を計3回施行. エピネフリンおよびアトロピンの総投与量はそれぞれ3.6mg(0.36mg/kg)および1.1mg(0.11mg/kg). 発見後, 約2時間で自己心拍出現したが低血圧および徐脈のためCPRを継続, 約3時間で直腸温28℃まで復温した後に自己心拍が安定した. ICU入室後に33.5℃の低体温療法を施行され, 3日間の低体温維持の後に復温されている. 受傷後, 24時間で自発開眼, 6日後で人工呼吸器を離脱した. 四肢痙性や眼振, ミオクローヌスなどの異常運動を認めたが一過性であり, 受傷後52日目に退院. 早期からのリハビリテーションに引き続いて, 訓練施設でのリハビリテーションに移行した. 頭部MRIでは, 両側内包および中脳被蓋の病変のみであった. 平成15年7月にて発語可能であり, 自力歩行可能まで回復している. 低体温を伴う溺水の予後は良いとされているが, 2時間以上の心肺停止後に神経学的な回復を認めるのは稀であり, 本例の経過について文献的考察を加えながら報告する. |
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ISSN: | 0288-4348 |