民間定期便によるInternational repatriationの実態とあり方
近年のわが国の海外渡航者数は飛躍的に伸び, 年間1,100万人強に及んでいる. これは毎年ほぼ全人口の10人に1人が, なんらかのかたちで海外に足を運んでいる計算である. ここまで国際化した現今, 日本人が外国で思いがけなく怪我や病気に罹ることも, もはや稀でない. ちなみに1993年に海外で日本人が関連した事故・事件は, 在外公館が関与したものだけで9,637件, 死者384人で過去最高であったと報告されているが(外務省発表, 1994.7.21), この数字も氷山の一角で, 集計に漏れた個々の日本人旅行者, 滞在者の外傷や疾病の実数は, これをはるかに上回ることは明らかである. わが国では...
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Published in | 蘇生 Vol. 13; pp. 128 - 134 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
1995
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | 近年のわが国の海外渡航者数は飛躍的に伸び, 年間1,100万人強に及んでいる. これは毎年ほぼ全人口の10人に1人が, なんらかのかたちで海外に足を運んでいる計算である. ここまで国際化した現今, 日本人が外国で思いがけなく怪我や病気に罹ることも, もはや稀でない. ちなみに1993年に海外で日本人が関連した事故・事件は, 在外公館が関与したものだけで9,637件, 死者384人で過去最高であったと報告されているが(外務省発表, 1994.7.21), この数字も氷山の一角で, 集計に漏れた個々の日本人旅行者, 滞在者の外傷や疾病の実数は, これをはるかに上回ることは明らかである. わが国では国民皆保険制度が確立し, 国内では誰でも心配なく医療機関を受診できるが, その一方で外国で医療を受けることなどまず考えてもこなかった. いざ外国で入院するような事態に遭遇したとき, 本人や家族が(そこが先進国であってすら)現地医療に不安を感じて日本に帰国を希望したとしても, 搬送の方法や手配, 医師の確保に困惑しているのが大方の実情である. |
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ISSN: | 0288-4348 |