多発傾向を呈した骨形成線維腫の一例

骨形成線維腫はセメント質と骨を形成する線維性間質からなる腫瘍で, WHOの歯原性腫瘍分類(2005年)1では骨原性新生物として定義されている. 病理組織学的には, 本腫瘍は線維性異形成症やセメント骨異形成症などとの鑑別が困難な場合も多く, 鑑別診断にはX線画像所見が重要なポイントとなる. 骨形成線維腫のX線画像は, 線維性間質と石灰化物との割合によりX線透過性のものから不透過性を示すものまで多様な像を呈する. 小さな病巣ではX線画像検査で偶然に発見されることが多く, 大きな病巣になると無痛性腫脹を示す病変である. 本病変は, 20~30歳代女性の下顎臼歯部に単発性に発現し, 顎骨および全身に多...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科放射線 Vol. 51; no. 1/4; pp. 16 - 18
Main Authors 蒲生祥子, 古跡孝和, 四井資隆, 秋山広徳, 清水谷公成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2011
Online AccessGet full text
ISSN0389-9705

Cover

More Information
Summary:骨形成線維腫はセメント質と骨を形成する線維性間質からなる腫瘍で, WHOの歯原性腫瘍分類(2005年)1では骨原性新生物として定義されている. 病理組織学的には, 本腫瘍は線維性異形成症やセメント骨異形成症などとの鑑別が困難な場合も多く, 鑑別診断にはX線画像所見が重要なポイントとなる. 骨形成線維腫のX線画像は, 線維性間質と石灰化物との割合によりX線透過性のものから不透過性を示すものまで多様な像を呈する. 小さな病巣ではX線画像検査で偶然に発見されることが多く, 大きな病巣になると無痛性腫脹を示す病変である. 本病変は, 20~30歳代女性の下顎臼歯部に単発性に発現し, 顎骨および全身に多発することは稀とされている2. 上顎部と下顎に多発した報告3や発現時期を異にした報告4はみられたが, 下顎骨の両側臼歯部に同時期に発現した症例は, 確認できなかった. 今回, 下顎両側大臼歯部に多発した骨形成線維腫を経験したので, その画像を供覧する.
ISSN:0389-9705