O-13. 進行舌癌に対する超選択的動注化学療法併用高線量率組織内照射の治療経験

【目的】近年, 頭頸部領域での超選択的動注化学療法の有用性が報告されており, 外部照射を主とした放射線療法との併用により, 形態および機能温存の点からも適応例が拡大されている. 一方, 高線量率組織内照射に関しても, 高い局所制御率や機能温存点から, 外部照射を併用することにより早期舌癌だけでなく進行舌癌に対しても適応拡大してきた. 今回我々は, 進行舌癌に対する超選択的動注化学療法を併用した高線量率組織内照射を施行した症例を経験したので報告する. 【方法および結果】2000年以降で舌癌に対する動注化学療法を併用した高線量率組織内照射を施行した症例は2例であった. 症例1は64歳男性で, 舌癌...

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Published in歯科放射線 Vol. 47; no. 1/4; p. 92
Main Authors 柿本直也, 村上秀明, 古川惣平, 清水谷公成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2007
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ISSN0389-9705

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Summary:【目的】近年, 頭頸部領域での超選択的動注化学療法の有用性が報告されており, 外部照射を主とした放射線療法との併用により, 形態および機能温存の点からも適応例が拡大されている. 一方, 高線量率組織内照射に関しても, 高い局所制御率や機能温存点から, 外部照射を併用することにより早期舌癌だけでなく進行舌癌に対しても適応拡大してきた. 今回我々は, 進行舌癌に対する超選択的動注化学療法を併用した高線量率組織内照射を施行した症例を経験したので報告する. 【方法および結果】2000年以降で舌癌に対する動注化学療法を併用した高線量率組織内照射を施行した症例は2例であった. 症例1は64歳男性で, 舌癌T4N0M0, 病理組織学検査ではVerrucous Carcinomaであった. 肺気腫の既往があり手術不可能とのことで, シスプラチン(50mg)による動注化学療法およびテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(2000mg)による経口化学療法後, 高線量率組織内照射(60Gy/10fr/8days)を施行した. 放射線治療後, 5年5ヶ月時に急性心不全のため死亡したが, 原発巣および頸部に腫瘍の再発はみられなかった. 症例2は57歳男性で, 舌癌T3N0M0, 病理組織学検査ではSquamous Cell Carcinomaであった. 本人の希望により, シスプラチン(170mg)による動注化学療法およびテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(3500mg)による経口化学療法後, 高線量率組織内照射(54Gy/9fr/7days)を施行した. これらの治療により腫瘍は縮小したものの, 治療後2ヶ月時点で腫瘍の残存を認め, 局所麻酔下で腫瘍切除術が施行された. その後3年7ヶ月が経過したが, 原発巣および頸部に腫瘍の再発はみられなかった. 【結論】進行舌癌に対し超選択的動注化学療法と高線量率組織内照射を併用することで, 治療成績を向上できる可能性が示唆された. 動注化学療法の薬剤量や高線量率組織内照射の放射線線量など今後十分な検討が必要である.
ISSN:0389-9705