4. CT画像三次元造形法を応用したマッサージ荷重計測用顔面モデル

【目的】顎関節症, 嚥下障害, 口腔乾燥症, 顔面知覚麻痺などに対する理学療法のひとつに, 顎顔面組織へのマッサージがある. 施術者あるいは患者自身による徒手的な顎顔面マッサージでは, 応力やリズムを客観的に評価する事が難しい点が, 効果の判定あるいは手技の指導において問題となる. そこで, マッサージによって生じる頭部への負荷を計測するセンシングシステムとしての「荷重計測用顔面モデル」を開発し, 臨床にて施行される咀嚼筋および耳下腺マッサージの計測を行った. 【材料と方法】生体のCT画像データを基に, 骨硬組織を剛体, 筋肉を硬弾性体, 脂肪層や皮膚などを軟弾性体で造形した頭部の模型を作成し...

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Published in歯科放射線 Vol. 47; no. 1/4; p. 41
Main Authors 勝又明敏, 飯田幸弘, 藤下昌巳, 泉雅浩, 小林馨, 小椋優, 高西淳夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2007
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Summary:【目的】顎関節症, 嚥下障害, 口腔乾燥症, 顔面知覚麻痺などに対する理学療法のひとつに, 顎顔面組織へのマッサージがある. 施術者あるいは患者自身による徒手的な顎顔面マッサージでは, 応力やリズムを客観的に評価する事が難しい点が, 効果の判定あるいは手技の指導において問題となる. そこで, マッサージによって生じる頭部への負荷を計測するセンシングシステムとしての「荷重計測用顔面モデル」を開発し, 臨床にて施行される咀嚼筋および耳下腺マッサージの計測を行った. 【材料と方法】生体のCT画像データを基に, 骨硬組織を剛体, 筋肉を硬弾性体, 脂肪層や皮膚などを軟弾性体で造形した頭部の模型を作成した. 6軸力覚センサを配置した基台に模型を取り付け, 荷重を検出するシステムとした. 顔面モデルは, 第2頸椎の位置のセンサで頭頸部に掛かる荷重を総合的に検出するタイプ, および頭部を正中で分割して脳頭蓋底の位置のセンサで左右側の荷重を独立して検出するタイプの2種類を作製した. 顔面へのマッサージに熟練した歯科医師が, 患者への施術と同様に, 両手を用いてモデルの耳下腺部および咬筋部にマッサージを施した. 【結果】CT画像三次元造形法の応用により, 生体頭部と近似した形状, 剛性, 弾性を有したモデルを作製することができた. 計測した熟練者のマッサージは力が安定しており, 左右のバランスも良好であった. マッサージにおいて顔の表面より押し込む力は約1~2kgであった. 対照としてマッサージ力を計測した初心者では, 左右のバランスが悪く, 頸への横方向の荷重が見られ, 時として力が過大になることがあった. 【考察】「荷重計測用顔面モデル」は, 初心者あるいは患者に対する適切な顎顔面マッサージ手技の指導に応用可能であると思われた. また, マッサージ機器の開発においても有用なデータを提供するものと考える.
ISSN:0389-9705