8. 悪性腫瘍による血管構造変化に対する定量解析法の基礎的検討

本研究の目的は, 悪性腫瘍の発育進展や非観血的治療によって生じる血管構造変化に対する定量解析法を確立し, 血1管構造を指標とする効果的な非観血的治療法を開発することである. 実験動物にはBALBc nu/nuマウスを使用し, ヒト鼻咽腔癌由来株KB細胞の皮下接種により担癌マウスを作成した. ネンブタール麻酔下(50mg/kg ip.)にマウス尾静脈を確保後, 76%アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン造影剤を工業用マイクロディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製MT-410)を用いて持続注入し, 血管造影検査を施行した. エックス線撮影には, 小焦点エックス線発生装置(ポニー原子工業社製P-70...

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Published in歯科放射線 Vol. 46; no. 3; p. 147
Main Authors 櫻井孝, 川股亮太, 鹿島勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2006
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ISSN0389-9705

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Summary:本研究の目的は, 悪性腫瘍の発育進展や非観血的治療によって生じる血管構造変化に対する定量解析法を確立し, 血1管構造を指標とする効果的な非観血的治療法を開発することである. 実験動物にはBALBc nu/nuマウスを使用し, ヒト鼻咽腔癌由来株KB細胞の皮下接種により担癌マウスを作成した. ネンブタール麻酔下(50mg/kg ip.)にマウス尾静脈を確保後, 76%アミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン造影剤を工業用マイクロディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製MT-410)を用いて持続注入し, 血管造影検査を施行した. エックス線撮影には, 小焦点エックス線発生装置(ポニー原子工業社製P-70II, 焦点サイズ10μm×10μm)とコンピューテッドラジオグラフィ(フジ写真フィルム社製FCR5000MA)を使用し, 管電圧30kV, 管電流90μA, 照射時間10sec.で, 直接7倍拡大撮影を行った. 得られた画像データから, 腫瘍周囲血管構造を画像解析ソフト(イデアガーデン社製Bone ver. 1.3)を用いて定量的に解析した. さらに, 本法の血管構造変化に対する検出精度を評価するため, 太さの異なる銅製ワイヤーによる血管ファントムを作製し, エックス線撮影により得られた画像データを解析し検出精度を評価した. 工業用マイクロディスペンサーを造影剤の持続注入器として使用することにより, マウスの腫瘍周囲血管をエックス線造影画像として描出することが可能であった. また, 画像解析ソフトを応用した血管構造の定量解析により, 腫瘍周囲の血管構造を定量的な値として解析することが可能であった. さらに, 太さの異なる銅製ワイヤーで作成した血管ファントムに対する解析において, 解析結果は理論的に正しい変動を示した. これらの結果から, 今回構築した定量解析法が血管構造の定量解析法として有用であることが示唆された.
ISSN:0389-9705