6. セファログラムに対するウェーブレット変換を利用した画像ノイズ除去

【目的】歯科矯正治療で主に使われるセファログラムは学童期の患者が最も多く, そのため被曝線量の低減が重要である. しかし, 線量の低減は同時に情報量の低減を引き起こすため, 少ない線量で多くの情報を得ることが課題といえる. 今回の研究は患者被曝線量低減のための基礎的研究として, セファログラムに対するウェーブレット変換を利用した画像ノイズ除去の有効性を検討する. 【方法】現在臨床で使用している撮影条件を標準条件として, その約1/20になる条件(以下1/20条件)にて撮影し, これをノイズサンプル画像とする. ウェーブレット関数の一つであるCoifet(Co), 移動平均フィルター(Av),...

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Published in歯科放射線 Vol. 46; no. 3; pp. 146 - 147
Main Authors 遠藤敦, 荒木和之, 加藤二久, 舟橋逸雄, 中島功, 岡野友宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2006
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Summary:【目的】歯科矯正治療で主に使われるセファログラムは学童期の患者が最も多く, そのため被曝線量の低減が重要である. しかし, 線量の低減は同時に情報量の低減を引き起こすため, 少ない線量で多くの情報を得ることが課題といえる. 今回の研究は患者被曝線量低減のための基礎的研究として, セファログラムに対するウェーブレット変換を利用した画像ノイズ除去の有効性を検討する. 【方法】現在臨床で使用している撮影条件を標準条件として, その約1/20になる条件(以下1/20条件)にて撮影し, これをノイズサンプル画像とする. ウェーブレット関数の一つであるCoifet(Co), 移動平均フィルター(Av), 適応Wienerフィルター(Wn), メディアンフィルター(Me)の4種類を用いて, ノイズサンプル画像からノイズを除去し, 物理評価(RMS粒状度MTF)を行った. 次に検体4体を用いて, 1/20条件で撮影し, 画像にノイズ除去処理を行った. ノイズ除去は物理評価で結果の優れていたCoとWnを用いた. 1/20条件群とノイズ除去群に対し, 解剖学的位置の認識度を視覚評価した. 評価した位置は, Anterior Nasal Spine(以下ANS)Orbitale(以下Or), Condylion(以下Cd)の3点で行った. 評価者は臨床経験4年以上の歯科放射線科医3名, 診療放射線技師2名で行った. 【結果】RMS粒状度およびMTFはAv, Me, Wn, Coの順に増加していた. 視覚評価は1/20条件群と比較しノイズ除去群のCdで有意(p<0.05)な改善を認めた. 【考察】視覚評価でCdのみ有意差が認められたのは, 他の2点に比べ被写体厚が厚く, X線が透過しにくいところであるため, ノイズの影響を一番受けやすい. そのため, ノイズ除去によって解剖学的位置が認識しやすくなったものと考える. 【結論】低線量での頭部X線規格撮影に対し, ウェーブレット変換によるノイズ除去が有効であることが示された.
ISSN:0389-9705