15.耳下腺及び顎下腺領域の血流の超音波パワードプラ法による比較検討
【目的】耳下腺及び顎下腺付近に分布して腺実質に血液を供給する多くの動脈には, 走行状態や血流速度に相違があり, 分岐の角度や血管抵抗も様々である. そして超音波パワードプラ法は低流速の血流に高感度で異なる方向の血流の描出に優れ, 血管の性状や血流動態などの情報を非侵襲的に得ることができるが, 深部での超音波減衰による影響や動きによって画像が劣化する欠点も指摘されている. そこでパワードプラ超音波検査法を使って耳下腺及び顎下腺に分布する動脈における血流の描出性と平均血流速度を調べ, それぞれ比較検討することにした. 【方法】観察は健常耳下腺15例, 顎下腺15例で, 対象とした動脈は, 耳下腺部...
Saved in:
Published in | 歯科放射線 Vol. 46; no. 2; p. 89 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
2006
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 【目的】耳下腺及び顎下腺付近に分布して腺実質に血液を供給する多くの動脈には, 走行状態や血流速度に相違があり, 分岐の角度や血管抵抗も様々である. そして超音波パワードプラ法は低流速の血流に高感度で異なる方向の血流の描出に優れ, 血管の性状や血流動態などの情報を非侵襲的に得ることができるが, 深部での超音波減衰による影響や動きによって画像が劣化する欠点も指摘されている. そこでパワードプラ超音波検査法を使って耳下腺及び顎下腺に分布する動脈における血流の描出性と平均血流速度を調べ, それぞれ比較検討することにした. 【方法】観察は健常耳下腺15例, 顎下腺15例で, 対象とした動脈は, 耳下腺部領域では外頸動脈, 顔面動脈, 後耳介動脈, 浅側頭動脈, 中側頭動脈, 前耳介動脈, 顔面横動脈で, 顎下腺部領域では外頸動脈, 顔面動脈, オトガイ下動脈, 舌動脈, 上行口蓋動脈, 舌骨上枝であった. 超音波装置はSSD-1700(ALOKA社製)で, 7.5MHz電子リニア走査探触子を使用して, パワードプラ検査を実施した. 血流の描出性としては, 動脈の横, 縦断層像の両方を描出可能かどうか, 本幹動脈との分岐基部の連続性を描出できるかどうか, 腺体内に確認された腺枝数について調べ, その後. 平均血流速度とpulsatility index(P.I.), resistance index(R.I.)を求め耳下腺と顎下腺で比較検討した. 【結果】血流の描出性に関して, 耳下腺部では, 外頸動脈, 顔面動脈, 浅側頭動脈, 中側頭動脈では高く, 後耳介動脈, 前耳介動脈, 顔面横動脈では低かった. 顎下腺部では, 外頸動脈, 顔面動脈, オトガイ下動脈で高く, 舌動脈, 上行口蓋動脈, 舌骨上枝で低くかった. 腺体内部の血管数に関しては, 顎下腺の方が多くなっていた. 耳下腺部においてP.I. は浅側頭動脈, 前耳介動脈で高く, 後耳介動脈で低くなっていた. R.I. は浅側頭動脈, 前耳介動脈で高く, 平均血流速度は浅側頭動脈, 中側頭動脈で高くなっていた. 顎下腺部においてP.I. は舌動脈, オトガイ下動脈で高く, R.I. は舌骨上枝で高かった. P.I., R.I. 共に外頸動脈, 顔面動脈では耳下腺, 顎下腺レベルにおいて差は認められなかった【結論】パワードプラ超音波検査法による耳下腺及び顎下腺部領域に分布する動脈の血流検査において, 各動脈の描出性や血流速度の相違について考慮する必要があった. |
---|---|
ISSN: | 0389-9705 |