3.片側頸部郭清術による健側,患側組織の変化について

【背景と目的】腎臓, 卵巣など対称性臓器の一方を摘出した症例において, 健側の残存臓器に代償性の変化が認められることが報告されている. これまで我々は, 片側頸部郭清術を施行した症例において, 血管の太さや健側顎下腺のサイズが変化したものを経験してきたが, これらについて詳細な検討を行った報告はない. 今回, 我々は頸部郭清術前後におけるCT画像上での健側, 患側の組織の変化を評価し, 頭頸部領域の代償性変化について検討することを目的とした. 【対象と方法】2003年3月から2006年2月までの期間に片側頸部郭清術を施行した口腔癌患者のうち, 頸部郭清術前後に造影CT検査を行った患者14人とし...

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Published in歯科放射線 Vol. 46; no. 2; pp. 68 - 69
Main Authors 玉木順子, 蒲生祥子, 柿本直也, 村上秀明, 古川惣平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2006
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ISSN0389-9705

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Summary:【背景と目的】腎臓, 卵巣など対称性臓器の一方を摘出した症例において, 健側の残存臓器に代償性の変化が認められることが報告されている. これまで我々は, 片側頸部郭清術を施行した症例において, 血管の太さや健側顎下腺のサイズが変化したものを経験してきたが, これらについて詳細な検討を行った報告はない. 今回, 我々は頸部郭清術前後におけるCT画像上での健側, 患側の組織の変化を評価し, 頭頸部領域の代償性変化について検討することを目的とした. 【対象と方法】2003年3月から2006年2月までの期間に片側頸部郭清術を施行した口腔癌患者のうち, 頸部郭清術前後に造影CT検査を行った患者14人とした. 同部位に放射線治療を行ったものは対象から除外した. 性別は男性10名, 女性4名(中央値67歳)であった. 頸部郭清術施行前後のCT画像上での健側顎下腺の体積および舌骨レベルにおける健側, 患側内頸静脈の断面積の変化を評価した. 評価は術後約3ヵ月まで, 3ヵ月~6カ月, 6ヵ月~12ヵ月に行った. 【結果】頸部郭清術施行前後のCT画像上での健側顎下腺の体積, 舌骨レベルにおける健側, 患側内頸静脈の断面積の変化を術後3ヵ月まで, および3ヵ月~6ヵ月, 6ヵ月~1年に評価した結果, 顎下腺の体積は6ヵ月~1年で25.0%増加し, 患側内頸静脈の断面積は3ヵ月までで術前の41.7%にまで減少し, 有意差を認めたが, その他では有意差は認められなかった. 【結論】頸部郭清術による顎下腺摘出によって, 健側顎下腺のサイズが有意に増加することがわかった. これは, 健側顎下腺の代償性変化と考えられた.
ISSN:0389-9705