7.TRの長いFLAIR法とGd造影MRI検査がほぼ同等に有効であった頚部神経鞘腫瘍の1例
【目的】永久磁石型MRI装置でのMRI検査においてTRの長いFLAIR法を応用し, Gd造影T1強調画像と同程度の診断能が得られた頚部神経鞘腫瘍の1例について報告する. 【対象と方法】左側頚部腫張を主訴とする54才男性に対し, T1WI(SE脂肪抑制無し), STIR, T2WI(FSE, 脂肪抑制なし)の3つのシーケンスで横断面と冠状断面のMRI撮像を行った. 左側頚動脈間隙にT1WIで低信号, STIR, T2WIでは高信号で鰓原性嚢胞を思わせる所見であった. しかし, T1WIでやや不均一であること, 鰓原性嚢胞としても鰓性癌あるいは感染などで変性を伴っているか, 神経由来の腫瘍の可能性...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 46; no. 1; p. 33 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
2006
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ISSN | 0389-9705 |
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Summary: | 【目的】永久磁石型MRI装置でのMRI検査においてTRの長いFLAIR法を応用し, Gd造影T1強調画像と同程度の診断能が得られた頚部神経鞘腫瘍の1例について報告する. 【対象と方法】左側頚部腫張を主訴とする54才男性に対し, T1WI(SE脂肪抑制無し), STIR, T2WI(FSE, 脂肪抑制なし)の3つのシーケンスで横断面と冠状断面のMRI撮像を行った. 左側頚動脈間隙にT1WIで低信号, STIR, T2WIでは高信号で鰓原性嚢胞を思わせる所見であった. しかし, T1WIでやや不均一であること, 鰓原性嚢胞としても鰓性癌あるいは感染などで変性を伴っているか, 神経由来の腫瘍の可能性を否定できないものであった. このため, 6月後の手術直前に可能な限りTRの長いFLAIR法(横断面)とGd造影T1(横断面, 冠状断面)MRI検査を施行した. 【結果】TRの長いFLAIR法とGd造影T1WIMRI検査のいずれでもいわゆるTarget様の逆の中心が低信号で周囲が高い信号の病変が認められた. ANTONI Atype + Btypeの神経鞘腫の画像所見であった. 病理所見でもANTONI Atype + Btypeであり, 著明な嚢胞形成を認めた. これらはいずれもTRの長いFLAIR法とGd造影T1WIと一致した所見であった. TRの長いFLAIR法はやや高い信号領域の幅が広く, Gd造影では造影される幅が薄く境界が明瞭であった. 【考察】永久磁石型MRIは低磁場であるので金属の多い歯科口腔領域, 整形外科領域では存在意義があると思われる. 一方, 選択的脂肪抑制が困難でスキャン時間が長いことに加え, タイミングが固定ないことからGd造影は汎用されてはいない. 今回, 手技を工夫することで良好な造影画像を得ることができ質的診断に有効であった. TRの長いFLAIR法の追加を通常の検査に組み入れるにはやや時間的無理があり, 他の検査あるいは方向を割愛する必要がある. 一方, 画質はGd造影検査と同様に有効であり, かつ造影剤の副作用の危険性やコストが低いという利点がある. 今後この2つの検査については適宜症例において棲み分け等が必要であると考えられる. |
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ISSN: | 0389-9705 |