75. 歯科用コーンビームCTを使用するエックス線診療室の画壁の遮蔽計算
【目的】歯科用コーンビームCTを使用するエックス線診療室の画壁等の遮蔽については, 「CT」の一種と看做されて, 一般のCT撮影室と同等の遮蔽能力を要求される場合が多い. そこで, 具体的な歯科用コーンビームCTについて, 合理的な遮蔽能力を持つ画壁の厚さを検討する. 【方法】平成13年医薬発第188号厚労省医薬局長通知(以下188号通知)に示された計算方法で必要な厚さを求めた. この結果と実測値を比較して, その妥当性を検討した. 仮定した歯科用CT装置は3DX multi image micro CT(モリタ)で, 管電圧80kV, 管電流4mA(通常時), 撮影時間17s, 照射野は回転...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 45; no. 4; pp. 187 - 188 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
2005
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Summary: | 【目的】歯科用コーンビームCTを使用するエックス線診療室の画壁等の遮蔽については, 「CT」の一種と看做されて, 一般のCT撮影室と同等の遮蔽能力を要求される場合が多い. そこで, 具体的な歯科用コーンビームCTについて, 合理的な遮蔽能力を持つ画壁の厚さを検討する. 【方法】平成13年医薬発第188号厚労省医薬局長通知(以下188号通知)に示された計算方法で必要な厚さを求めた. この結果と実測値を比較して, その妥当性を検討した. 仮定した歯科用CT装置は3DX multi image micro CT(モリタ)で, 管電圧80kV, 管電流4mA(通常時), 撮影時間17s, 照射野は回転中心(焦点から40cm)で3×4cmである. 計算上の仮定線源-皮膚間距離:30cm 線源-画壁間距離:1.4m 回転中心-画壁間距離:1m 画像検出器の鉛当量:2mm(188号通知) 入射表面の照射野:3×4cm(12cm2) 使用頻度:1日40回, 週200回(13,600mAs), 3ヶ月で2600回(176,800mAs)【結果】一次線の遮蔽:管電圧80kVでの出力X線強度は80μGy/mAs at 1m(188号通知表1)で, 鉛2mmの透過率は1.3×10-5(188号通知表2を内挿)である. これより, 画壁内側の実効線量Hは135μSv/3ヶ月となった. これは, 画壁に遮蔽能力が無くとも, その外側を直ちに敷地境界とできる値である. 散乱線の遮蔽:管電圧80kVでの散乱線強度比は0.08%(188号通知表4を内挿)である. これより, 画壁内側のHは0.42mSv/週, 5.44mSv/3ヶ月であった. これは, 既にエックス線診療室の画壁外側の基準を満たしている. 画壁を直ちに管理区域境界とするには23.8%以下に減弱すれば良く, 鉛0.06mmまたはコンクリート1.5cmで十分である. 実測の結果:管電流10mAの時, 回転中心から1mでの散乱線強度は最大で200μSv/hであり, 188号通知の計算法による値の1/5以下であった. 【考察】188号通知の計算法は散乱線強度を過大評価する傾向にある. また, ここに述べた計算は最大強度の散乱線が全方向に撮影時間に亘って継続すると仮定している. 従ってこの計算結果は, 散乱線量をかなり過大に評価していると予想される. 今後, 更に実測を重ね, 過大評価の程度を検討する予定である. 【まとめ】188号通知の計算法に従って遮蔽計算を行ったところ, 歯科用コーンビームCTを使用するエックス線診療室の画壁等は僅かな遮蔽能力で良いとの結果が得られた. |
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ISSN: | 0389-9705 |