68. 歯科用ディジタルX線画像の画質管理 第2報イメージングプレート上の傷の定量評価

【目的】歯科医療の現場で欠くことのできないX線画像検査法において, 近年, ディジタルシステムが用いられるようになってきた. このディジタルX線画像の画質管理を最終目標とし, イメージングプレート(以下IP)の劣化について, 使用不能IPの基準を求め, IP上の傷の定量評価を行う. 【方法】IP表面の劣化の度合いをIP上の傷で評価するために, 傷の分類(咬合痕, 擦過痕, 混合痕, 目視では視認不能の4種)を行い, 画像上に傷を抽出した. 傷を定量化するために, 傷4種類のIP画像それぞれについて, 画像処理ソフトPhotoshop 6.0(AdobeTM)を用いて画像処理を行い, 傷の部分の...

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Published in歯科放射線 Vol. 45; no. 4; p. 185
Main Authors 木村由美, 加藤二久, 大野裕亮, 遠藤 敦, 三島 章, 森田康彦, 今中正浩, 田中 守, 小林 馨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2005
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Summary:【目的】歯科医療の現場で欠くことのできないX線画像検査法において, 近年, ディジタルシステムが用いられるようになってきた. このディジタルX線画像の画質管理を最終目標とし, イメージングプレート(以下IP)の劣化について, 使用不能IPの基準を求め, IP上の傷の定量評価を行う. 【方法】IP表面の劣化の度合いをIP上の傷で評価するために, 傷の分類(咬合痕, 擦過痕, 混合痕, 目視では視認不能の4種)を行い, 画像上に傷を抽出した. 傷を定量化するために, 傷4種類のIP画像それぞれについて, 画像処理ソフトPhotoshop 6.0(AdobeTM)を用いて画像処理を行い, 傷の部分のピクセル数を測定し, 評価を行った. 傷の大きさを個数の関係, 傷の大きさと全体のピクセル数に対する傷ピクセル数の割合の関係を求めた. 定量化した傷について歯根膜を基準として, 使用不能となるIPの判定方法を定式化した. 【結果】傷を抽出した画像に. ダスト&スクラッチ処理, モザイク処理を順に行い, 最後に2値化表示し, 傷の部分のピクセル数を測定した. その結果, 傷ピクセル数は, 全体のピクセル数の0.02%~2.91%(平均0.44%±0.44%)であった. 傷の大きいものは数が少ないが, 全体のピクセル数に対する割合は大きく, 小さい傷は数が多く, 全体のピクセル数に対する割合は多い傾向にあった. 使用不能IPの基準を歯根膜とした場合, 傷の大きさが歯根膜よりも大きいものがひとつでも或る場合には, 使用不能と判断できる, また, 歯根膜よりも小さい傷でも多数存在する場合に全体のピクセル数に対して0.02%以上あれば, 使用不能と判断できることがわかった. 【考察】傷の種類や場所, 大きさによって, 画像診断に与える影響が異なるが, 傷の抽出アルゴリズムの決定が可能となり, 定量化が可能となったことによって, 使用不能IPの客観的判断が可能となった. しかし, 傷の種類や場所と撮影目的の関係によっては, 使用可能なIPが抽出できるとも考えられる. この傷の抽出が現在は手動のシステムのため, 操作が煩雑であるが, 今後, 自動的に行えるようなシステムが可能となれば, IPの品質管理も簡便に行えると考えられる. 【結論】IPを照射した画像から, 傷の判断, 傷の抽出, 種類の分類が可能となり, IPの劣化程度の定量評価が行えるようになり, 使用不能IPの客観的判断が可能となった.
ISSN:0389-9705