54. 顎変形症症例における下顎頭関節面および海綿骨の評価
【目的】片側性の非復位性関節円板前方転位を有する顎変形症症例において, MPR-CT画像上で下顎頭の骨濃度について比較検討し, 関節円板前方転位と下顎頭の加齢変化との関連性を明確にする. 【対象と方法】1997年5月から2005年3月までの期間に, 顎変形症の術前診査としてCT撮影を行った症例中, 開口位の軸位断CT画像により片側性の非復位性関節円板前方転位と診断され, 顕著な骨変化を示さなかった69名(女性53名, 男性16名, 年齢11~46歳平均19.8歳)を抽出した. 顎関節部のMPR-CT画像上で, 視覚的に皮質骨部と海綿骨部とが区別可能かどうかを, 区別不可能な一体型, 区別可能な...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 45; no. 4; pp. 179 - 180 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
2005
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Summary: | 【目的】片側性の非復位性関節円板前方転位を有する顎変形症症例において, MPR-CT画像上で下顎頭の骨濃度について比較検討し, 関節円板前方転位と下顎頭の加齢変化との関連性を明確にする. 【対象と方法】1997年5月から2005年3月までの期間に, 顎変形症の術前診査としてCT撮影を行った症例中, 開口位の軸位断CT画像により片側性の非復位性関節円板前方転位と診断され, 顕著な骨変化を示さなかった69名(女性53名, 男性16名, 年齢11~46歳平均19.8歳)を抽出した. 顎関節部のMPR-CT画像上で, 視覚的に皮質骨部と海綿骨部とが区別可能かどうかを, 区別不可能な一体型, 区別可能な分離型, どちらともいえない中間型の3タイプに分類して下顎頭の骨濃度について比較, 検討した. 【結果】1. 一体型は10代の非転位側の69%に認められ, 他の年代では認めなかった. 2. 中間型は10代の非転位側の31%と転位側の14%に, 20代の非転位側の21%に認められた. 3. 分離型は10代の転位側の86%, 20代の非転位側の79%, 20代の非転位側の100%に認められ, 30代以上は両側ともにすべて分離型であった. 非転位側では, 年齢層の上昇とともに, 皮質骨部, 海綿骨部の区別不可能なもの(一体型)が減少し, 区別可能なもの(分離型)が増加した. 転位側では, 一体型が認められず, 非転位側と比較して分離型が多く認められた. 20代以降では分離型のみが認められた. 【考察】10代にて皮質骨部と海綿骨部との区別が不可能であり, 20代, 30代になるにつれ, 区別可能になる傾向が非転位側にて認められたが, これは正常な下顎頭の発育過程を反映していることが考えられた. すなわち, CT画像上, 加齢に伴い, 海綿骨部に対して皮質骨部が明瞭化してくる過程を成熟として捉えうると考えた. 今回の研究結果では, 非転位側で一体型が多く占める10代において, 転位側では, 成人の非転位側に多く見られる分離型あるいは中間型が占めていた. 10代では非転位側に比して転位側でより成熟が進んでいると考えられ, 関節円板が介在しないことによる負荷の増大がその一因である可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0389-9705 |