12. 口腔インプラント術前診査に対する歯科用CTとマルチスライスCTの有用性の基礎的検討

【目的】口腔インプラント治療におけるX線診査は, CT画像による3次元的画像診断が主流である. 近年において, 歯科用CTやマルチスライスCT(MDCT)などの開発により立体的観察や内部構造の観察および距離測定などに精度の向上がみられる. 本研究の目的は, 口腔インプラント診査における歯科用CTとマルチスライスCTの画像診断および距離計測についての基礎的検討をすることである. 【材料と方法】インプラントモデルはヒト乾燥下顎骨にインプラント体を埋入し, 水槽内に固定しファントームとし, 歯科用CTとMDCTにて撮像した. MDCT画像はデンタルモードに構築し, life sizeに変換してパーソ...

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Published in歯科放射線 Vol. 45; no. 4; p. 164
Main Authors 澤田久仁彦, 松本邦史, 加島正浩, 里見智恵子, 萩原芳幸, 新井嘉則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2005
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ISSN0389-9705

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Summary:【目的】口腔インプラント治療におけるX線診査は, CT画像による3次元的画像診断が主流である. 近年において, 歯科用CTやマルチスライスCT(MDCT)などの開発により立体的観察や内部構造の観察および距離測定などに精度の向上がみられる. 本研究の目的は, 口腔インプラント診査における歯科用CTとマルチスライスCTの画像診断および距離計測についての基礎的検討をすることである. 【材料と方法】インプラントモデルはヒト乾燥下顎骨にインプラント体を埋入し, 水槽内に固定しファントームとし, 歯科用CTとMDCTにて撮像した. MDCT画像はデンタルモードに構築し, life sizeに変換してパーソナルコンピュータに読み込み, モニタ画像上にてイメージツールで計測した. 歯科用CT画像の計測は, 附属の計測ツールにて行った. その後インプラントモデルをレジン包埋して分割し, デジタルキャリバーで計測し, それを実測値として, 前額断の同断面(実寸大)にて歯科用CTとMDCTの画像を比較した. なお計測は, 放射線医師3人で3回おこない, 平均値をとった. また, インプラント体周囲の骨梁構造や下顎管の観察は, 同一の3断面を肉眼的に行い比較した. 【結果】肉眼的観察した結果, 歯科用CTは画像が鮮明であり, インプラント体周囲の骨質, 骨梁および下顎管などがMDCTより明瞭に観察できた. 計測結果は, 実測値に対して歯科用CTによる計測値は有意差を認めなかったが, MDCTによる計測値は, 歯槽頂-下顎管上縁の距離計測値に有意差を認めた. 【考察】歯科用CTはMDCTより計測誤差が小さく, 画像が鮮明であり解剖学的指標の観察にも適しており, インプラント埋入の術前検査に適している. またインプラント体周囲における骨質, 骨梁および下顎管などに対し, 歯科用CTはMDCTよりアーチファクトが少なく, 明瞭に観察できるために術後の経過観察にも適している. MDCTは歯科用CTより計測誤差は大きいが, インプラント埋入の術前検査として臨床的には, 問題はないと考えられた. また広範囲欠損の症例などには, MDCTも有効であると考えられた. *本研究の一部は平成14年度日本大学歯学部総合歯学研究所研究費によって実施した.
ISSN:0389-9705