II-2.口腔癌の診断において超音波が寄与する役割について
当科では, 口腔癌症例に関し, 超音波を(1)舌原発巣の評価(2)リンパ節の評価(3)軟組織再建時の血管の確認に用いている. 以上の項目に対し, 当科にて行っている超音波診断の現状を述べる. (1)舌原発巣の評価 初診時に, 超音波検査により, 舌原発巣の深達度, 辺縁形態, 境界などを評価している. 画像上, 境界不明瞭な病変や鋭利な辺縁をもつ病変は, 浸潤形式が不良である可能性が高く, 再発および転移率が高い傾向がみられた. 生検では, 摘出された一部の標本から組織学的悪性度を評価するのに対し, 舌の超音波は, 深達度, 腫瘍全体の形態を評価できる利点があり, 治療法, 予後に関する有用な...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 45; no. 4; pp. 153 - 154 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
2005
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Summary: | 当科では, 口腔癌症例に関し, 超音波を(1)舌原発巣の評価(2)リンパ節の評価(3)軟組織再建時の血管の確認に用いている. 以上の項目に対し, 当科にて行っている超音波診断の現状を述べる. (1)舌原発巣の評価 初診時に, 超音波検査により, 舌原発巣の深達度, 辺縁形態, 境界などを評価している. 画像上, 境界不明瞭な病変や鋭利な辺縁をもつ病変は, 浸潤形式が不良である可能性が高く, 再発および転移率が高い傾向がみられた. 生検では, 摘出された一部の標本から組織学的悪性度を評価するのに対し, 舌の超音波は, 深達度, 腫瘍全体の形態を評価できる利点があり, 治療法, 予後に関する有用な情報を与えると考えられる. 組織内照射後の治癒過程の観察では, 直後に腫瘍部分の内部エコーが増加し, 辺縁が不明瞭化した. また, 一時的に血流がふえるものの, 6ヶ月頃までに血流が減少する事が解った. 経過観察期間中での辺縁の明瞭化, 血流の増加は, 再発の可能性を示唆する所見であった. 超音波像は, 視診, 触診を補う情報を与えると考えられる. (2)リンパ節の評価 リンパ節の評価に対しては, B-modeでは, リンパ門の消失, 内部エコーの増加は, 転移を示唆する所見である. ドップラ法により得られるリンパ門から広がる樹枝状の血流は非転移を示唆し, 無信号や辺縁型の血流は転移を示唆する所見であると一般にいわれている. 我々は, 動物を使った基礎的な実験より, 転移過程において, リンパ節内の血流は一過性に増大し, そののち血流欠損部位が生じ, 最終的には全体的に血流が検出されなくなるという過程を取ることを明らかにした. しかしながら, 実際の臨床の場では, リンパ節内の血流信号が微弱であることより, B-modeの補完的な情報をもたらすものの, 評価者のobserver performanceを著しく改善するものではなかった. 術前放射線治療後の評価では, 正常リンパ組織では描出される血流信号が, 照射前に比べ増強されるものの, 壊死した腫瘍塊部では, 血流信号の増強を認めず, 転移, 非転移の鑑別が, 照射前の画像より容易であった. 十分なドップラ信号が得られるような状況では, ドップラ法はB-modeに対し付加的な意義を持つようである. (3)軟組織再建時の血管の確認 腹直筋皮弁, 前腕皮弁などによる再建を行う際, 血管走行のmappingを行っている. その様子を示す予定である. |
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ISSN: | 0389-9705 |