5. モルフォロジカルフィルタの3次元画像への応用
マイクロCTや歯科用CZおよびMDCTの普及により, 3次元的な骨の形態計測が広くおこなわれている. しかし, そのためには骨を周囲のバックグラウンドと分離し, その領域を指定する二値化の処理が不可欠である. 本研究では, 二次元画像エックス線画像情報に対して応用してきたモルフォロジカルフィルタ(Mフィルタ)を三次元画像情報に応用し, 骨梁をスケルトン(骨格特徴)として抽出することを試みた. Mフィルタによる方法では, 濃度に関わらず「周囲よりも輝度の高い一定の領域」が抽出されるという特徴がある. これは, 低濃度領域の骨梁抽出能にすぐれていることを示す. コンピュータ上で作製したサイン波チャ...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 45; no. 3; p. 113 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
2005
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-9705 |
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Summary: | マイクロCTや歯科用CZおよびMDCTの普及により, 3次元的な骨の形態計測が広くおこなわれている. しかし, そのためには骨を周囲のバックグラウンドと分離し, その領域を指定する二値化の処理が不可欠である. 本研究では, 二次元画像エックス線画像情報に対して応用してきたモルフォロジカルフィルタ(Mフィルタ)を三次元画像情報に応用し, 骨梁をスケルトン(骨格特徴)として抽出することを試みた. Mフィルタによる方法では, 濃度に関わらず「周囲よりも輝度の高い一定の領域」が抽出されるという特徴がある. これは, 低濃度領域の骨梁抽出能にすぐれていることを示す. コンピュータ上で作製したサイン波チャートによる評価では, 骨梁幅に相当する周波数を0.01-0.1cycle/pixelの範囲で変化させたチャートを骨格特徴として抽出した. また, 256階調の画像においてpixel値を255-128まで連続して変化させたチャートを骨格特徴として抽出することができた. つぎに, 厚さ5mmの5枚の腰椎海綿骨ブロックを積み重ねることによって海綿骨量を変化させるファントムを作製した. 骨ブロックを1~5枚を重ねたときのマイクロCT画像を取得し, これらの画像に対して骨形態計測をおこなった. そして, 従来の二値化法による方法と比較することで, Mフィルタによる骨格特徴抽出の定量性について検討した. その結果, 骨梁体積(BV/TV)とブロック枚数の間にR2=0.998(従来法), R2=0.999(Mフィルタ)といずれもきわめて高い相関を示した. また, 巨視的な骨梁構造の複雑性を示すフラクタル次元(FD)とブロック枚数の間にそれぞれR2=0.884, R2=0.931の相関を示した. 以上の結果から, モルフォロジカルフィルタによる骨梁の抽出は, 低濃度の骨梁抽出能や定量性にすぐれており, 3次元骨形態計測に対しても有用であることが強く示唆された. |
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ISSN: | 0389-9705 |