O-41 Aneurysmal Bone CystとSimple Bone Cystの画像所見
緒言:Aneurymal bone cyst(ABC)とSimple bone cyst(SBC)は, いずれも嚢胞上皮を有しない嚢胞性疾患で, 顎骨での発生はまれである. ABCとSBCは通常それぞれ特徴ある画像所見を示すが, 両者の画像所見は多様で, 時に鑑別の困難な症例がある. 今回我々は病理組織学的に診断を得られたABCとSBCの症例の臨床および画像所見を分析し, 鑑別診断に有用な所見を検索した. 患者と方法:1992年から2003年までに東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科放射線外来でCT検査を行った患者で, 病理組織学的検査によってABCと診断された患者とSBCと診断された患者を全て...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 43; no. suppl; p. 49 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
2003
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-9705 |
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Summary: | 緒言:Aneurymal bone cyst(ABC)とSimple bone cyst(SBC)は, いずれも嚢胞上皮を有しない嚢胞性疾患で, 顎骨での発生はまれである. ABCとSBCは通常それぞれ特徴ある画像所見を示すが, 両者の画像所見は多様で, 時に鑑別の困難な症例がある. 今回我々は病理組織学的に診断を得られたABCとSBCの症例の臨床および画像所見を分析し, 鑑別診断に有用な所見を検索した. 患者と方法:1992年から2003年までに東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科放射線外来でCT検査を行った患者で, 病理組織学的検査によってABCと診断された患者とSBCと診断された患者を全て対象とした. ABC患者は8名, SBC患者は13名であった. これらの患者の臨床所見およびCT画像とパノラマX線画像をretrospectiveに検討した. 結果:ABCとSBC患者の性差, 平均年齢, 発生部位に有意な差はなかった. 主訴は, ABCは無痛性の腫脹2例, 不快感2例で, ABC4例(50%)とSBC13例(100%)では主訴はなく, 偶然に発見された. (有意差あり, p=.0046)手術時に嚢胞内容液「なし」はABC3例(38%), SBC10例(77%)であった. パノラマX線写真上の病変の形は, 単房性/スカロップ状辺縁/多房性に分類され, ABCは38%/38%/25%, SBCは77%/8%/15%だった. 又辺縁が全周骨硬化線に囲まれていたのはABCが50%でSBCが38%だった. いずれも有意差はなかった. CTの軸断面画像上で計測した嚢胞の近遠心径と上下径, 頬舌径の平均値はいずれもABCの方がSBCより大きかったが, 有意差があったのは頬舌径のみであった. CT所見の頻度を以下に示す. CT所見ABCSBC有意差 病変辺縁の骨硬化線が不明瞭6/86/13N.S. 骨皮質の菲薄化8/811/13N.S. 骨皮質の膨隆8/84/13p=.00185 骨皮質の断裂2/83/13N.S. 内部の隔壁構造6/82/13p=.00630 内部の石灰化物4/81/13p=.02707 結論:CT画像で, ABCはSBCよりも頬舌的な骨膨隆が大きく, 空洞内部の隔壁様構造と石灰化物の存在が特徴的であった. |
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ISSN: | 0389-9705 |